ヤマトが宅配運賃の値上げ・時間指定の配達を見直しへ~過重労働問題の解決のためにできること〜

宅配便最大手ヤマト運輸の従業員の過重労働がいま問題となっています。これを受けて、ドライバーの労働環境の改善のために、ヤマトは様々な対応策を検討しています。

写真はイメージです

目次

ヤマトが宅配運賃値上げ・時間指定の配達を見直しへ

宅配便最大手ヤマト運輸は、従業員の過重労働問題の抜本的解決の一環として時間帯指定の配達を見直す方針を固めました。

ヤマトは、荷物の受け取りを指定できる時間帯として、午前中/正午~午後2時/午後2~4時/午後4~6時/午後6~8時/午後8~9時の6つを用意していますが、指定が比較的少ない正午~午後2時と、時間帯の幅が短く多忙になりがちな午後8~9時の二つの時間帯の指定をとりやめ、正午~午後4時のように時間帯の幅を広げることを検討しています。

配達が特定の時間帯に集中することでドライバーの負担が増えている現状を打破するためです。

また、再配達の有料化などの対策を講ずる必要に迫られる可能性もあります。

インターネット通販の普及で、宅配便の荷物量は急増している背景があるからです。

さらに、ヤマト運輸は今月7日、宅配便の運送料金を値上げする方針を明らかにしました。

値上げで収入が増えた分を処遇改善などに活用する考えです。

ヤマトは春闘で、労働組合から荷物量の抑制を要求されています。

運賃を値上げすれば、利用者が減る可能性もあるが、荷物1個あたりのもうけは増えますから、それでバランスをとろうということです。

ヤマト運輸の2017年3月期の荷物量は、前年比8%増の18億7000万個で過去最多となる見通しだそうです。

ヤマト運輸の労働状況の問題点

ヤマトの一連の対応策の背景にあるのは、ドライバーの過重労働問題です。

過重労働の原因は、大きく分けて

  1. 荷物量の急激な増加
  2. 慢性的な人手不足

にあります。

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

まず、荷物量の急激な増加の背景にあるのは、インターネット通販の急速な普及です。

スマートフォンの普及により、この伸びは収まる勢いがありません。

特に多いとされているのは、「アマゾン」の宅配の荷物です。

ヤマトが2013年にネット通販大手のアマゾンジャパンの契約を請け負って以降、急激に荷物量が増えたとのことです。

以前は佐川急便がアマゾンと契約していましたが、撤退。

その荷物がヤマトに流れてきたわけです。

また、不在だった家への再配達の増加も荷物量の増加に拍車をかけています。

なんと再配達は全体の2割を占めており、ただでさえ多くの荷物を抱える従業員にかなりの負担を課しています。

そればかりでなく、再配達の増加は社会全体から見ても深刻な損失です。

国土交通省は、再配達による社会的損失について

  1. 営業用トラックの年間排出量の1%に相当する年約42万トンの二酸化炭素(CO2)が発生、
  2. 年間約1.8億時間・年約9万人分の労働力に相当

と推定しています。

次に、慢性的な人手不足です。

国土交通省によると、2015年度の全国の宅配便の取扱個数は37億446万個であり、ヤマトは17億3126万個で、業界全体の半数近くを占めています。

また、前述のとおり、2017年3月の荷物量はこれよりさらに多い18億7000万個になる見通しです。

一方でヤマトのドライバーは全国に約6万人しかいません。

厚生労働省によると、宅配便など道路貨物運送業(中小型)の年間労働時間は2580時間で所得額は375万円です。

労働時間が長く所得は低い傾向にあり、人口減少も相まってドライバー確保も困難となっています。

これらの現状を受けて労働環境が悪化しています。

事実、昨年12月には、ヤマト運輸の横浜市内の支店が男性ドライバーに長時間労働をさせたとして、横浜北労働基準監督署から労働基準法違反で是正勧告を受けています。

この支店は昨年8月にも、ドライバー2人に残業代の一部を払わず、休憩時間を適切に取らせていなかったとして、同法違反で是正勧告を受けていました。

過重労働問題の解決のためにできること

以上でみたように、問題は山積みですが、以下では一つ一つ解決策を考えていきます。

まず、荷物量の急激な増加についてです。

これについては、思い切って佐川のように、撤退してしまう、という手もありますが、なかなか難しい決断です。

そうすると、やはり送料を「無料」ではなく「有料」にする、というのも一つの手ではあります。

適正な送料が支給されれば、労働環境は良くなるはずだからです。

一方、再配達については、そもそも再配達を有料にしてしまう、という手がありますが、顧客離れが懸念されます。

もしくは、1回目の配達で受け取った場合はポイントが付与される、などの対策があり得ます。

国交省もこのような案を出しています。

また、ヤマトは、仕事帰りなどに荷物を受け取れるロッカーを駅や商業施設など5000カ所以上に設置する方針です。

ほかにも、宅配ボックスの活用も有効です。

ただ、宅配ボックスにも限りがあるので、他社との争奪戦になっている、との声もあります。

宅配ボックスの設置と有効な活用が急務です。

人手不足の解消には、労働環境の改善がいちばんです。

単に労働時間を減らし賃金を増やすというだけでは不十分です。

労働時間を減らすことがかえってサービス残業を助長することもありますので、実質的な対策が必要です。

現在ヤマトでは、地域の主婦を2~3時間だけパートで雇うという「パート集配」を実施しており、労働環境の改善が期待されます。

過剰労働の場合の法律相談

では、もしもあなたが過剰労働の被害に遭った場合、法律上どのような手が打てるのでしょうか?

まず、労働基準法36条に定める協定(「サブロク協定」と呼ばれています)を超える違法な残業については、労働基準監督署に報告を行い、指導をしてもらう、といううことが可能です。

また、残業代の不払いについても同様の対策が可能です。

いずれにせよ、労働問題に強い弁護士に相談することをおススメします。

この記事の作成者

ジコナラ編集部