お墓の所有権【意外と知らないお墓と相続の話】~安倍清明の子孫の墓が崩壊危機~

平安時代の陰陽師であった安倍晴明の直系子孫である土御門家の菩提寺・梅林寺(京都市下京区)で、一族の墓が長年の劣化で崩壊の危機に陥っているとのことです。

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安倍清明の子孫の墓が崩壊危機

平安時代の陰陽師であった安倍晴明の直系子孫である土御門家の菩提寺・梅林寺(京都市下京区)で、一族の墓が長年の劣化で崩壊の危機に陥っているとのことです。

半世紀近く子孫の消息が不明になっているためで、寺側は対応に苦慮しつつも、千年以上にわたって天文や暦法をつかさどった一族の供養を続けています。京都新聞が11日に報じました。

 土御門家は江戸時代に天皇や公家の祭祀や占いを行ってきた由緒ある家系です。

梅林寺の墓所には一族の墓20基が残っていますが、長年の風雨にさらされて墓石にひびが入り、碑銘も剥がれ落ちるなど傷みが激しい墓もあるとのことです。同寺によると、土御門家の関係者との連絡が途絶えており、一族と協議ができないままでは補修することも難しいとのことです。

意外と知らないお墓の承継について

皆さんは、法的にお墓がどのように受け継がれていくか、知っていますか?今日は、意外と知らないお墓の承継のお話をします。

ある財産の所有者が亡くなったとき、普通であれば、「相続」によって相続人がその財産についての権利を承継します。

これは、一般常識で考えても当然なのですが、実は、お墓については通常の「相続」とは別の形で受け継がれます

これについては、民法897条に定めがあります。897条によると、「系譜、祭具及び墳墓の所有権は…慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する

ただし、被相続人の指定に従って祖先の祭祀を主宰すべき者があるときは、その者が承継する。」とされています。

これはどういうことなのでしょうか?

例えば、Aさん(男)に妻のBさんがおり、二人の間の子どもである長男Cさん、次男Dさんがいる家庭を想定するとします。

ここでAさんが亡くなった場合、Aさんの持っていた財産は、特に遺言がなければ、Bさんが2分の1、Cさんが4分の1、Dさんが4分の1の割合で相続します。

しかし、お墓に関してはこのような分割は起きず、慣習に従い祖先の祭祀を主宰する者が一人で承継します。

長男のCさんがそれに当たるのなら、長男のCさんが一人で承継することとなるのです。

そして、もし仮に被相続人たるAさんが祭祀を主宰すべき者として別のEさんを指定していた場合、その指定が優先することとなるのです。

なお、仮に被相続人の指定に従って祭祀を主宰すべき者もおらず、慣習によっても定まらないときは、家庭裁判所が祭祀財産についての権利を承継する者を定めることとなります(民法897条2項)。

これは利害関係人の申立てによる調停又は審判により行われます。

この場合、家庭裁判所は、897条の趣旨からは一人の者による単独承継を定めることとなりますが、特別の事情があれば複数の者を定めても構いません。

最終的に、相続人もなく承継者としてふさわしい者もいなかった場合は当該財産は国庫に帰属することとなります。

最後に、なぜこのようにお墓について別の形での承継が定められているのでしょうか?

それは、第二次大戦直後の1947年の民法改正による「家」制度の廃止に際して、祖先の祭祀を尊重する習俗や国民感情を考慮して家督相続をいわば「部分的に」残す、ということがなされた結果だとされています。

その意味で、897条は個人主義と家制度の間にある妥協的な規定であると言えるでしょう。

いかがでしたか?実は、あまり知られていませんが、お墓に関するトラブルは多いとのことです。そんな時は、一度思い出してみてください。

この記事の作成者

ジコナラ編集部