離婚時の財産分与について|対象となる財産や退職金の財産分与など

離婚時の財産分与について理解していますか?離婚をする時になると、結婚後に二人で築いてきた財産をしっかり分けてから別れたい人が多いことでしょう。この財産分与について今回は掘り下げていきたいと思います。

目次

離婚の財産分与について解説します!

 

離婚をしようとしたときに、早く別れたいと思うあまり財産分与に関する取り決めをおざなりにして離婚してしまう人がいます。

目的は離婚なのだから、それはそれで良いのでしょうが、せっかくもらえるはずの財産が少なくなっていたらもったいないと感じてしまうでしょう。

  • 財産分与の他、離婚の際のお金の問題 
  • 離婚の財産分与とは 
  • 離婚時の財産分与の対象となる財産 
  • 離婚時に財産分与の対象にならない財産もある 
  • 離婚後の財産分与には期限がある!? 
  • 離婚の財産分与には相場があるの? 
  • 退職金の財産分与

これらの離婚の際のお金に関することをまとめてお話したいと思います。

法律で受け取れると決まっているお金ですから、しっかり知って正しく自分の分を受け取りたいですね。

離婚の財産分与・慰謝料・養育費

離婚するときに問題となるお金は、財産分与の他にもあります。

まずは離婚時に問題となるお金を見ていきましょう。

【離婚時のお金】(1) 財産分与

今回お話のメインテーマとなる財産分与は、その言葉のとおり、夫婦が持っている財産となる金品を、離婚にあたりしっかり分けることを言います。

しっかり調べてみると、意外なものが財産分与の対象だったり、その逆で財産分与の対象外だったり、意外と奥が深い離婚時の金銭のやり取りとなります。

【離婚時のお金】(2) 慰謝料

離婚時の慰謝料は、離婚の原因をつくった方が相手に対して支払うお金です。

治療費などと違い、精神的なダメージに支払われるお金になりますので、金額の相場はあるものの、受け取れる額はその夫婦ごとに違いが現れてきます。

一般家庭でやりとりされる数十万の慰謝料から、芸能人カップルの離婚の際話題となる数千万もの慰謝料まで、相手の経済力と気持ちの問題で変わってくるものなのです。 

【離婚時のお金】(3) 養育費

子どもがいる夫婦が離婚する場合、引き取る側の経済力がもう片方の経済力より劣る場合、子どもの生活安定のために養育費を受け取ることができる場合があります。

養育費の考え方は、離婚をした後でも子どもに夫婦揃って生活していた時と同等な生活を送らせるという法的理念に基づいて、必要なお金を計算し、それを夫婦で分担する形になります。

慰謝料と養育費について詳しくは離婚にまつわる「慰謝料」と「養育費」について解説します!を参考にしてください。

離婚の財産分与とは? 

離婚時には大きく3つに分けた金品のやり取りがあることがわかりましたね。

今回は、その中の財産分与について重点を置いて解説します

【離婚の財産分与とは】「夫婦が協力して築いた財産」を分ける 

基本的な財産分与は、夫婦が結婚してから築いてきた財産のことです。

例えば車など名義人が明記されているものでも、結婚後に購入したものであれば夫婦の財産という事となり財産分与の対象となります。

分けられる財産は、あくまでも結婚した後に夫婦で作った財産です。

結婚前からしていた定期預金などは含まれない場合がありますので注意が必要です。

【離婚の財産分与とは】清算的財産分与

たとえば浮気が原因で離婚となった場合でも、そんな責任問題に関係なく請求できるのがこの精算的財産分与の方法です。

清算的財産分与では、収入のない専業主婦の場合でも、基本的に夫の財産形成に50%貢献したと考えられる傾向にあります。

実際の収入以外の貢献度も考慮されるのです。

【離婚の財産分与とは】扶養的財産分与

離婚する時に、片方が病気で仕事ができなかったり、高齢者であるために、すぐに職探しができそうにない場合、生活の困窮による夫婦の貧富の差が生まれることが考えられます。

これをなくすため、離婚後に経済的優位に立つ方が、配偶者に向けて一定額を定期的に支払うことがあります。

これを扶養的財産分与と言います。

扶養的財産分与を受けるためには

  • 事情があって働くことが困難
  • 親族に扶養できる者がいない
  • 清算的財産分与と慰謝料を合わせても離婚後生活ができない

といった条件が必要になります。

【離婚の財産分与とは】慰謝料的財産分与

慰謝料的財産分与は、本来慰謝料として支払うべきお金を、財産分与という形で支払う場合をいいます。

基本的な性質は慰謝料と同じですので、相手側に不貞行為などの不法行為があることが前提になります。

離婚の財産分与の対象になる財産とは?

これまでも、財産分与の対象についてどんなものがあるのかご説明してきました。

ここでは、具体的にどのようなものが財産分与の対象となるのか見ていきます。

【離婚の財産分与の対象になる財産】(1) 「結婚後」に「夫婦二人」で 築いた財産

財産分与の基本的な考え方は「結婚後」に「二人で」築いてきた財産と覚えておいてください。

結婚期間中に貯めた貯金、購入した車や家、そして借り入れた借金も対象になります。

注意すべき点としては、結婚後にできた負債も財産分与の対象になる場合があります。

また、ローンがまだ残っている住宅については財産分与の対象にならない場合もあります。

ここで注目したいのが、財産分与の額として参考にするのは、購入した時の金額ではなく、時価であるということです。

例えば、夫婦が2000万で購入した住宅を売却した場合に、1500万にしかならなかったとします。

この場合財産分与額とされるのは1500万となります。

【離婚の財産分与の対象になる財産】(2)  財産の名義は関係ない

例えばさきほど紹介した例であげた住宅や自動車など、一応名義人があるものの夫婦が協力してローンなどの借金を支払い購入したものもあります。

そのような名義人があるものでも個人の持ち物ではなく家族のものと考えられるものは財産分与の対象となります

婚姻期間中に築いた財産は名義に関係なく財産分与の対象になるのです。

【離婚の財産分与の対象になる財産】(3) 扶養的性質から対象になるもの

先程もお話したように、主に夫から妻に支払われることとなることが多い「扶養的財産分与」ですが、これも財産分与の際に、扶養的財産分与であることを明示して行う必要があります。

協議離婚でも公正証書に扶養的財産分与であることを明記しておきましょう。

公正証書離婚とは?|協議離婚時の公正証書の役割と離婚協議書との違いも参考にしてみてください。

離婚の財産分与の対象にならない財産の例

では離婚の際、財産分与の対象とならないのはどんなものでしょうか?

【離婚の財産分与の対象にならない財産】(1) 結婚する前から蓄えていた財産

たとえば、結婚前から契約していた保険であったり、結婚前に預けておいた定期預金の類は結婚後に築いた夫婦の財産ではなく、片方の個人的な財産ということになります。

このような結婚前から持ち続けている財産は、離婚をする時でも財産分与の対象とはなりません。

【離婚の財産分与の対象にならない財産】(2) 結婚を機に取得した財産

結婚を機に取得した財産とは、例えば結婚する際実家からもらってきたお金や家具、車などのことをいいます。

このようなものは、離婚のときの財産分与の対象にはなりません。

夫婦が協力によって取得したものではないからです。

【離婚の財産分与の対象にならない財産】(3)  相続分の財産

例えば、婚姻中に妻の身内が亡くなり、多額の遺産を相続したとします。

この妻の財産は財産分与の対象になるかというと、「財産分与の対象ではない」ということができます。

個人的な相続や譲渡によって得た財産は、「二人で」築いた財産とはいいがたいですよね。

【離婚の財産分与の対象にならない財産】(4) 別居時に築いた財産

それでは、すでに離婚を考え別居した後に築いた財産はどうなるのかというと、別居時に取得した財産は原則、財産分与の対象にはなりません。

この場合も、夫婦が協力して得た財産とはいえないからです。

あくまでも、財産分与の対象となるのは、別居する時までに二人で築いた財産ということになるのです。

【離婚の財産分与の対象にならない財産】(5) 個人的な借金

通常、結婚期間に借り入れた借金は共同で債務を負うという観点から財産分与の対象となり、差し引きがされることになりますが、どちらかが個人的に作った借金は財産分与の対象にはなりません。

例えばギャンブルなどで個人的に作った借金は財産分与の対象にはなりません。

離婚の財産分与の請求期間

離婚する時というのは、早く別れたいという焦りから財産分与や慰謝料といった大事な取り決めを後回しにしてしまうことがよくあります。

では、財産分与は離婚の後からでも請求できるのでしょうか?

【離婚の財産分与の請求期間】(1) 調停の除斥期間は2年間

除斥期間というのは、法律において早く事実を確定するために定められている期間のことで、離婚時の財産分与請求調停の除斥期間は2年間となっています。

財産分与を忘れて離婚をしてしまい、後で請求する場合でも、2年間はまだ間に合うということになりますね。

【 離婚の財産分与の請求期間】(2) 「協議」は離婚後いつまでも可能

調停の申立には2年以内という期限がありますが、財産分与をして欲しいと私的に協議することは、いつまででも可能となっています。

しかし、そこには法律的な保護は働かず、相手と自分の交渉によってのみ財産分与請求ができることになります。

もちろん、相手が拒否をすれば財産分与請求は困難になります。

【離婚の財産分与の請求期間】(3)  有責配偶者からの請求も可能

財産分与は有責配偶者、つまり離婚の原因となった人からでも請求が可能です。

慰謝料は離婚の原因となった人からそれによって精神的な苦痛を受けた人に支払われるものですが、財産分与の考え方は結婚時に共同で築いた財産は離婚時に公平に分けるべきだ、という趣旨のものですので離婚の原因とは全く関係ないとされているのです。

しかし、財産分与の扶養的な側面に関しては、自分で離婚原因を作っておきながら「離婚後の生活に困るから扶養してほしい」というのはあまりにも理不尽すぎるために、認められない可能性があります。

離婚の財産分与の金額・相場

財産分与の額というのは、個人の資産・財産によって変わってきます。

しかし、分配方法などにおいて相場といえるものはあるのでしょうか?

財産分与の相場

家庭裁判所が定めた財産分与の金額を相場として見るのであれば、全体の1/4の人が100万円以下の財産分与で一番数が多くなっています。

しかし、これはあくまでも平均的な数字です。

実際には、婚姻年数が少ない人ほど財産分与額は低く、婚姻年数が数十年に渡る夫婦では当然財産も増えています。

財産分与額も婚姻年数が増えるほど高額になる傾向にあります。

専業主婦の分与

従前の財産分与の割合を決める調停では、専業主婦の場合は財産分与により請求できる割合は共有財産の50%を下回ることが多かったようです。

しかし、結婚期間中夫が仕事に従事できたのは専業主婦である妻の貢献があってこそのものです。

ですから離婚時にはその貢献度に応じて50%まで財産分与をすることができるというのが最近の傾向です。

夫婦生活の貢献度を評価

財産分与の割合は基本的に1/2とされます(2分の1ルール)。

しかし、夫婦生活に対する貢献度で割合が変わってくる例もあります。

たとえば、分与される財産額が大きい場合や、片方の特殊な技能によって収入が成り立っている場合などがそれにあたります。

夫が医者として病院経営をしており、財産が4億円あったとします。

医者でもない妻が離婚に際して2億円の財産分与を請求しても、貢献度が低いとして認められないということが考えられます。

退職金の離婚時の財産分与


夫がサラリーマンで妻が専業主婦やパート・アルバイトの家庭の場合、夫の退職金も財産分与になるのでしょうか?

【退職金の財産分与】(1) 退職まで後少しの場合はもらえる

退職金は一般的に「給料の後払い」的な性質があるので、夫が働いて給料を稼げたのは妻の貢献があってのことだ、という財産分与の考えのもと、今後もらえる退職金も財産分与の対象とすることができます。
 
ですが退職まで10年以上を残していたり、ほとんど退職金をもらえる可能性がない場合は財産分与の対象にはなりません。
 
あくまで現金化されていない給料の延長線上なのであまりに現実的ではないものは対象にはならないのです。
 
裁判所では一般的に2~3年後に退職金をもらえる予定がある場合は財産分与を認めています。

【退職金の財産分与】(2) 結婚期間に見合った額だけが対象になる

例えば夫が24歳から働き始め、30歳で結婚、55歳で離婚し65歳で退職金をもらう、といった場合に、妻が夫の仕事に対して貢献したとされるのは30歳から55歳までの25年間です。
 
退職金は給料の後払い的性質がありますので、夫がもらえる退職金は24歳から65歳までの41年間の就労を考えたものとなります。
 
ですから退職金の全てを分与の対象として考えるわけではなく、妻が財産分与として受け取れる額は結婚期間に見合った額のみとなりますので注意が必要です。

離婚の財産分与について知っておきたいこと!|対象となる財産から退職金のことまで一挙紹介のまとめ


離婚の財産分与についておわかり頂けたでしょうか?
 
財産分与をうまく進めるにはしっかりと対象になる財産を把握することが大切です。

もし財産分与についてわからないことがあれば早めに離婚問題に強い弁護士に相談することをオススメします。
この記事の作成者

カケコム編集部