早稲田に続き慶応も 文科省 天下りあっせんの問題と【国家公務員法】

文部科学省の天下りあっせんが組織的に行われていた問題で、慶應大学にも文科省の元幹部が再就職していたことが判明しました。慶応大学は「正式な手続きを以って元幹部を採用しており、直接の依頼や利害関係などはなかった」としています。

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早稲田大に続き慶応大でも 組織ぐるみの天下りあっせん 文部科学省

文部科学省の天下りあっせんが組織的に行われていた問題で、昨年6月、慶應大学にも文科省の元幹部が再就職していたことが判明しました。
慶応大学は正式な手続きを以って採用を行っており、文科省からの直接の依頼はなく問題に当たるとは考えていないとして、利害関係を否定しています。文科省は現在、再就職の経緯が国家公務員法上問題になるかを調べているとのことです。

天下りは法律で規制されてる?【国家公務員法】 

早稲田大学に続き慶応大学にも文科省の元幹部が再就職する際に仲介等のあっせんがあったとして最近ニュースを賑わすこの問題。今年の1月に内閣府の再就職等監視委員会、いわゆる監視委文科省が国家公務員法に違反し天下りあっせんが組織的に行われていたとする調査結果を公表し、大きな注目を集めました。

今回は国家公務員法がどのようにして天下りを制限しているのかをみていきましょう。

そもそも天下りとは一般的には官庁から民間の企業に再就職することを指します。天から下の世界へ、、、なんとも言えない表現ではありますね。天下りには様々な問題点がありますが、最も大きな問題としては官僚と民間、それぞれの癒着が挙げられます。

分かりやすく説明すると、元官僚である【甲】がAという企業に幹部として再就職をしたとします。官庁には【甲】の後輩に当たる現役官僚の【乙】がいるはずですよね。そのような場合【甲】が【乙】に仕事を依頼してくれと頼めば、官僚時代の上下関係ですから断ることは難しく、組織に対する癒着が起きる、というわけです。 

もちろんこれは一つの例に過ぎませんが官僚と民間の癒着は非常に大きな問題となっています。

それでは国家公務員法についてみていきましょう。

国家公務員法でいわゆる天下り(官僚の再就職)の規制についての条文はいくつかあり、

他の職員、元職員の再就職依頼、情報提供等の規制 (国家公務員法第106条の2)
現職職員による利害関係企業等への求職活動の規制 (国家公務員法第106条の3)
再就職者による元の職場への働きかけの規制    (国家公務員法第106条の4)

があります。

これらを見てもらえばわかるように、国家公務員法では官僚の再就職そのものを規制しているわけではありません。

日本の憲法22条にも職業選択の自由があるように、あっせんのない天下りであれば取り立てて違法、というわけではないのです。

何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。    (日本国憲法第22条第1項)

もちろん、憲法15条の公務員についての条文との兼ね合いもあり安易に判断できる問題ではありませんが、

すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。          (日本国憲法第15条)

今回のケースでは、文科省のあっせんの仲介役とされる人物が同省の人事課から元官僚の人事情報の提供を受け、大学に略歴などを伝えていたことがわかっています。早稲田大学の問題と同様に、国家公務員法に抵触する可能性は高いでしょう。

このような問題では、国家公務員法の見直しもそうですが、天下りというシステムの根本的な見直しとそれに伴う法整備の必要性が感じられます。天下りは必ずしも悪いことばかりではありません。若い官僚にチャンスを与え、元官僚という高い能力を民間で活かすのは天下りの利点とも言えるでしょう。 

天下りのあっせんがいけないからと言って官僚が退職後にハローワークに通う姿を想像ができますか?そうなった場合おそらく一番困るのは受け入れ先の民間企業でしょう。

今後一層関心が高まると予想されるこの問題ですが、規制に当たる当たらないのいたちごっこでは問題は何も解決しません。根本的な制度改革を期待したいものです。

この記事の作成者

カケコム編集部