公共の場での授乳~その法的問題は?〜

公共の場での授乳の賛否が、いま、話題となっています。少子化が進み、一方で女性活躍が目指されるなか、公共の場での授乳について今一度考えて見ましょう。

目次

公共の場での授乳の賛否が話題に

公共の場での授乳の賛否が、いま、話題となっています。飲食店で授乳する母親に戸惑っているという意見が朝日新聞の投稿欄「声」に掲載され、これに対して、どこで授乳すればいいのかという母親の投稿があったことがきっかけでした。少子化が進み、一方で女性活躍が目指されるなか、注目の話題です。

公共の場での授乳~法的問題は?〜

では、公共の場で授乳することについて、何か法的問題はあるのでしょうか?

まず、確認しておきたいことは、授乳ケープ等を着用し、胸元が隠れている状態での授乳は、マナーの問題はあるとしても、法的には何ら問題となりません。

法的に問題になる可能性があるのは、胸元を見せ、乳房が見えてしまっている状態での授乳です。

これについて、まず問題となり得るのは、公然わいせつ罪の成立でしょう。

公然わいせつ罪の成立には、「公然」と「わいせつな行為」をする必要があります(刑法174条)。飲食店や電車内などでの授乳は、当然「公然」性の要件は充たすわけですが、一方で、「わいせつな行為」にあたるのでしょうか?

公然わいせつ罪における「わいせつな行為」に当たるためには、その行為が、簡単に言えば、いたずらに性欲を興奮・刺激させ、一般人の性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念を害するものである必要があります。

この概念は時代や場所によって変わり得るものですが、現代の社会において授乳は「わいせつな行為」には当たらないと言ってよいでしょう。授乳は育児のためのものであって、一般的に性的なものとは切り離されています。授乳自体は、性欲を興奮させるものとも性的羞恥心を害するものとも解されていないと考えられるからです。

次に、授乳が公然わいせつ罪にならないとしても、軽犯罪法違反が問題となる可能性があります。軽犯罪法1条20号に「公衆の目に触れるような場所で公衆にけん悪の情を催させるような仕方でしり、もも、その他身体の一部をみだりに露出した者」を拘留または科料に処するという規定がありますので、この規定に触れるとも思われます。

しかし、結論から言って、この規定に違反する可能性はきわめて低いでしょう。もちろん、授乳の仕方等にもよりますが、授乳は一般的に「けん悪の情」を催させるとは言えないからです

いかがでしたか?公共の場での授乳はマナーが問われますが、人間関係が希薄になり、社会全体で子どもを育てるという意識が失われていく中、もう一度考えるべき話題なのではないでしょうか。

この記事の作成者

ジコナラ編集部