詐欺はどんなときに成立する?~「使用済み切手」つなぎ合わせ本物に偽造し逮捕

偽造切手を郵便局に持ち込み本物の切手と交換させたとして、警視庁は27日までに、郵便法違反と詐欺の疑いで、みずほ銀行の行員の男を逮捕しました。

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「使用済み切手」をつなぎ合わせて本物に偽造 詐欺容疑でみずほ行員逮捕

偽造切手を郵便局に持ち込み本物の切手と交換させたとして、警視庁は27日までに、郵便法違反と詐欺の疑いで、みずほ銀行の行員の男を逮捕しました。

逮捕容疑は2016年9月30日午前11時25分ごろ、千代田区内幸町の郵便局で、額面350円の偽造切手計1万500円分を別の額面の切手と交換し、だまし取った疑いです。男は容疑を認めているようです。

丸の内署によると、男性はネットオークションで使用済み切手を購入し、消印部分を切り取って継ぎはぎし、未使用のように偽造していたとのことです。

詐欺罪はどんなときに成立するの?

「詐欺」という言葉は日常生活でもよく使われるものですね。

今回の切手の事件では、常識的に考えても、詐欺が成立することはわかりやすいでしょう。しかし、微妙な事例になると、本当に詐欺なのか?と判断に迷うことも多々あるでしょう。

そこで、今日は、法律的観点から「詐欺罪」について説明していきます。

まずは条文を見てみましょう。

刑法246条1項「人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。」

刑法246条2項「前項の方法により、財産上不法な利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。」

上の条文の解釈として、詐欺罪の成立には①人を欺く行為により②相手を錯誤に陥らせ③だまされた者が財物または財産上の利益を処分し④財物、利益が移転し、⑤相手に財産上の損害が生ずる必要があると言われています。そして、①から⑤が因果的に連鎖していないといけない、と言われています。

いろいろと面倒なことを言いましたが、これらの要件に当てはめていくと、詐欺っぽいなーという事例も、実は詐欺じゃなかった!なんてこともわかったりします。

例えば、デパートで、服を試着し、お金を払わずにそのまま逃げちゃった…そんな事例を考えてみましょう。この事例では、一応、店をだまして服をだまし取ったとも考えられるので、詐欺じゃないの?とも思われます。

しかし、ここでは、店側が服をという財物を「処分」する、という行為がありません。ただ単に、店側には服を試着するという事実、すなわち、「占有を緩める」ということを基礎づける事実の認識しかないから、「処分」とは言えないのです。

また、正確に言えば、この事例には「欺く」行為そのものもありません。実は、たいへんわかりにくいのですが、欺く行為自体が、相手方の財産的処分行為に向けられていなければならないのです。これについては、わかりにくいと思うので、今回はこの辺りにしておきます。

以上より、試着の事例では、具体的な事実関係にもよりますが、詐欺罪ではなく、単に窃盗罪が成立するのみです。

逆に、詐欺が成立しなさそう…とも思えるのに実は詐欺だった、なんていう事例もあります。

たとえば、お店で買い物をしたときに、お釣りを多くもらったけど、黙って受け取って持って帰ってしまった、なんていう事例です。

この事例では別にお店をだましているわけではない気もします。しかし、「人を欺く」行為には、不作為(かんたんに言えばやるべきことをしないこと)によるものも含まれます。

今回の事例でも、取引関係にあるお店と客では、釣銭が多かったらそれを教えてあげる義務があると考えられています。なのに、その義務を果たさず、何もしていないわけですから、これはお店を「欺く」行為と言えるのです。

いかがでしたか?まさか詐欺になるとは…なんていう事例も多くあります。そんなつもりじゃなかった…なんてことにならないように、日頃から気を付けましょう。

この記事の作成者

カケコム編集部