生活保護なめるな!問題のジャンパーにもう一つの問題アリ?

神奈川県小田原市の職員が着用していたとして問題になったジャンパーのロゴがイギリスのサッカーチーム・リヴァプールのロゴに酷似しているとしてリヴァプール サポーターズクラブ日本支部は18日、市に対して抗議を申し立てる検討をしているとツイッター上で発表しました。

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生活保護なめるな 問題のジャンパーにさらに問題アリ? 

神奈川県小田原市の生活保護を担当する職員が、職場や受給者の家庭を訪問する際に保護なめんな」と書かれたオリジナルのジャンパーを着用していたことが問題になり、不適切だったと認めた市は職員らへの厳重注意などの処分を検討しています。
 
そして、この際着用されていたジャンパーに使われたロゴがイギリスのサッカーチーム・リヴァプールのロゴに酷似していることから、リヴァプール・サポーターズクラブ日本支部は抗議を申し立てる検討をしているとツイッター上で発表しました。
 

似ているか?似てないか?

今回問題になっているロゴ法律上の観点から掘り下げていきたいと思います。
 
今回のように2つのロゴが酷似していることにおいて、著作権の問題が挙げられます。
 

著作権とは著作物排他的に支配することができる財産的権利で、著作物の利用によって利用者から使用料を取ることができます。

そして著作者は著作物を勝手に使われたり改変させられたりしない権利も持っています。許可もなく他人の著作物を利用すれば権利の侵害にあたります。
 
では今回のジャンパーのロゴは著作権上問題があるのでしょうか。
 
著作物をコピーして利用すれば著作権上にいう複製権侵害にあたります。そして複製権の侵害になるためには要件があり、
 
①著作物であるか
②類似しているか
③依拠しているか
 
を検討する必要があります。
 
①著作物であることとは、思想または感情を創作的に表現したものであって文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものであるとされます。(著作権法第2条1項) つまり頭の中にある「アイデア」を個性が現れるような方法で表現すれば著作物であると認められます。今回のリヴァプールのロゴは非常に創作性の現れた表現であり著作物としての性質を持っていることから、リヴァプールのロゴが著作物であることは間違いないでしょう。
 
②類似しているかについては、二つのロゴの形は非常によく似ており、細かく見ていくと全体の構図(盾、炎、帯の配置など)、文字を入れる場所、バランスなどどれを取ってもそっくりです。ほとんど完全に模倣した「デッドコピー」であると言っても良いと思います。
 
③依拠しているかについては、上記のようにほぼデットコピーであるほど類似しているので依拠があったことはほぼ間違いないでしょう。
 
このように条件を満たしているのでジャンパーのロゴが複製権侵害になる可能性は高いです。
 
しかし、このように似たようなロゴを見かける機会は実は少なく無いと思います。例えばオリジナルTシャツを作るときにこのようなロゴが入っていることは珍しくありませんよね。それはなぜかというと、著作権は私的使用のためには自由に利用できる決まりがあるのです。(著作権法第30条) 自分自身や家族など、限られた範囲で利用するためになら著作物を複製することができます。
 
では今回のケースで市職員が作成したジャンパーに使われたロゴは私的使用に当たるのでしょうか?
 
私的使用は例えば買ってきたCDをそのまま複製して自分で聞いたりするなどの狭い範囲に限られています。今回、市職員という皆の目に触れる立場で、さらに職務中にそのロゴが入ったジャンパーを着ていたとなると私的使用に当たるとは考え難いのでは無いでしょうか。
 

もちろんリヴァプール・サポーターズクラブ日本支部はロゴの著作者ではありませんが、もしロゴの著作者が著作権侵害を訴えたとしたら、このような検討に加え、侵害の主体は誰だ?ということも考える必要があるでしょう。

ジャンパーを作ったのは恐らく衣類メーカーですが、メーカーが侵害の主体なのでしょうか?それとも依頼した市職員なのでしょうか? 
 

このように一口に著作権侵害と言っても非常に多くの検討が必要になります。

みなさんも著作権侵害をしないように、十分気をつけて創作活動をしましょう。
 
この記事の作成者

ジコナラ編集部