これって罪になるの?~「デスノートに名前書くぞ」小学校講師が児童に発言〜

福島県田村市の小学校で、30代男性の常勤講師が児童4人に対し、「デスノートに名前を書くぞ」という旨の発言をしていたことが12日にわかりました。

目次

小学校講師が児童に「デスノートに名前書くぞ」

福島県田村市の小学校で、30代男性の常勤講師が児童4人に対し、「デスノートに名前を書くぞ」という旨の発言をしていたことが12日にわかりました。

「デスノート」は人気漫画で、デスノートに名前を書くと名前を書かれた人物が死亡するという設定です。

昨年の末に児童の担任の教諭が発言を把握したことで問題が発覚しました。学校は不適切な発言だったとして、保護者に謝罪しました。

これって罪になるの?~脅迫罪の成否

今のところ、今回の発言が何らかの刑事事件に発展しているという様子は見られませんが、今回の発言は何らかの罪に問われることはありうるのでしょうか?

可能性としては、脅迫罪が成立するのでは?と考える人もいるでしょう。

しかし結論から言えば、脅迫罪の成立可能性は低いと思われます。

その理由を以下説明していきます。

まず、条文から見ていきましょう。

「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」(222条1項)

「親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。」(222条2項)

条文からわかる通り、脅迫とは、生命、身体、自由、名誉又は財産(条文にはありませんが、貞操や信用も含むとされています)に対する加害の告知をいいます。脅迫があれば、これらが侵害されるのではないかという恐怖感が生ずることから、脅迫行為自体を禁止したものです。

あまり一般には知られていませんが、告知される害悪は、被害者自身(222条1項)もしくは被害者の親族(2項)に関するものに限られます。従って、友達を殺す、などという内容を告知しても脅迫罪にはなりません。

今回の事件では、児童「本人」(この点から、222条1項の適用を考えます)の「生命」に関する害悪の告知だと取れなくもないですが、そもそもデスノートなんてこの世に存在しないものですから、生命に対する害悪の告知と見るのも無理があるでしょう。

他にも、脅迫罪に該当する害悪は、議論はありますが、客観的に一般人を畏怖させる程度のものでなければならない、と言われています。

ふつうは「デスノートに名前を書く」と言われたところで恐怖心は生じないので、この点においても成立を否定できそうです。ただし、畏怖させるに足りる程度は、被害者が男性か女性か、または子どもか大人か、によっても当然変わってきます。そうすると、今回は被害者が子どもですので、脅迫罪成立のために求められる程度は当然下がると思われますので、注意が必要です。

最後に、害悪は、告知者の左右しうるものでなければなりません。左右できないものは、「脅迫」ではなく単なる「警告」にとどまります。例えば、漠然と「お前に天罰が下る」といったところで、告知者が天罰をコントロールできるわけではないので、これも「脅迫」には当たりません。この点から見ても、今回は「脅迫」とはならないでしょう。

しかし、注意しておきたいのは、脅迫罪という犯罪が成立しなくとも、男性講師が児童に対し民事上の不法行為責任(民法709条)を負うことは当然あり得ます。刑事上の責任と民事上の責任は完全に別だからです。

また、犯罪にならなくとも、この発言は、児童一人一人に対して責任を負う教師として、到底適切なものとはいえないでしょう。教師にとっては何でもない言葉でも、児童にとっては大きな傷となることはありうるからです。

いかがでしたか?脅迫罪についてこの機に知っておいても損はないでしょう。

この記事の作成者

カケコム編集部