離婚裁判で最高裁まで争える?最高裁で争われるまでの過程は?

離婚調停もダメで、離婚裁判に突入するとなったら不安でいっぱいです。そして相手から最高裁まで争うとでも言われたらますます不安になるでしょう。ここで今回は離婚で最高裁まで争った事例と離婚裁判の全てについてお話しします!

目次

離婚裁判で最高裁まで争える?最高裁まで争えるのはどういうとき?

離婚で裁判をすることになってしまったが、離婚裁判について全くわからないし、相手から最高裁まででも争うと言われて困惑している方もいるのではないでしょうか?
 
今回は最高裁まで争うことになった泥沼離婚裁判と、その大前提となる離婚裁判について見ていこうと思います。

離婚裁判について確認

裁判離婚と聞くとなんだか難しそうなイメージを持つ方が多いですが、果たして裁判離婚とはなんなのでしょうか?

裁判離婚(判決離婚)とは何か?

離婚協議や調停離婚も不成立だった場合に、最終手段として行われるのが裁判離婚(判決離婚)です。
 
最終手段として行われるのが裁判離婚(判決離婚)なので、いきなり最初から裁判をすることはできません
 
裁判の前には調停を経る必要があります(調停前置主義)。 

裁判離婚の割合と変化

下のグラフは各種類の離婚の割合を示したグラフです。

裁判離婚は全体の一割ですが、その中でも裁判官が離婚の可否を決める判決離婚は1%にすぎません。

裁判離婚のうち、判決離婚でないものは、和解離婚といいます。

和解離婚は、訴訟中に和解してなされる離婚です。

離婚裁判が行われる主な理由

では全体の一割にすぎない裁判離婚まで発展する理由は何が多いのでしょうか?
 
1 相手が離婚に同意しない場合
 
2 離婚には同意するものの、財産分与・子の監護の問題で対立している
 
3 離婚に異議はないものの、相手が主張する離婚事由には同意できない場合 
 
主な理由としては、上記の3つなどが挙げられます。
 
3が争われる理由は主に、離婚事由などが考慮に入れられ、慰謝料額が決まるからです。

裁判離婚の離婚原因

では、裁判離婚をするためのにはどのような事情が必要なのでしょうか?
 
裁判離婚の離婚原因は民法770条1項に記載されています。
 
1~4号は個別的な離婚原因の例示で、5号は1~4号以外の一般的な離婚事由を定めています。

「婚姻を継続し難い重大な事由」は夫婦関係が破綻している場合に認められます。

第七百七十条  夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一  配偶者に不貞な行為があったとき。
二  配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三  配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四  配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五  その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
ただし、上記1~4号の離婚原因は絶対的な離婚原因ではない(これさえ満たせば離婚できるというわけではない)ので注意が必要です。
 
また、上記の1〜4号の離婚原因があるとしても、裁判所が事情を考慮して婚姻の継続を相当とするときには、離婚はできません(裁量棄却 民法770条2項)。
 
第七百七十条
2  裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。 

離婚で最高裁まで争う過程〜三審制〜

では、最高裁判所で争うことになるまでには、どのような過程を踏むのでしょうか。

離婚で最高裁まで争う過程〜第一審〜

第一審は家庭裁判所です。
 
家庭裁判所の場所は当事者のどちらかの住所がある場所で行われます。
 
離婚裁判では、離婚か離婚しないか、という判断しか下されません。
 
もし判決に納得がいかなかったり、認定された離婚原因に納得がいかない場合には、控訴します。
 
控訴により、訴訟は高等裁判所に移審します。

離婚で最高裁まで争う過程〜第二審〜

第二審は高等裁判所です。
 
高等裁判所でも、離婚するかしないかの判断が下されます。
 
高裁まで争うのには一年以上はかかりますが忍耐強く戦いましょう。
 
第二審の判決に不服があった場合には注意が必要です。

最高裁に上告するためには原判決が違憲である、もしくは明らかに法令に違反するということが必要です。
 
これ以外を上告理由とすること(不倫していたのが認められなかったから上告するなど)はできないので注意してくだい。

離婚で最高裁まで争う過程〜第三審〜

上告されれば、いよいよ最高裁判所での審理です。

最高裁判所で最終的な決定が下されます。

今までの判決が覆ることもあるので諦めずに戦いましょう。

離婚で最高裁判所まで争われた事例〜上告理由の具体例〜

最高裁判所で争われる内容。今までどのようなものが争われてきたのでしょうか。

離婚で最高裁まで争った事例(1) 生活のための婚姻外性的交渉

キャバレーで働いていたAは客のBと結婚しました。
 
しかし、Bは結婚後酒に溺れ、家にあまり帰らなくなっていました。
 
お金がなくなってしまったAは、一人の子供を養う生活費を稼ぐために売春稼業をいやいやながらも、始めざるを得なくなってしまった。
 
そこで父親不明の子を身ごもります。
 
それを知ったBはAの不貞行為を理由に離婚を求めました。
 
Aは自分の行為は生活のためで不貞行為には当たらないと主張し、一審・二審では、事情を考慮し、離婚は相当でないとされました。
 
そこでBは離婚を認めないのは明らかな法令違反(離婚の棄却は法令に反する)との理由で上告した(法令違反を理由とする上告という)。
 
最高裁は、夫にも責任があるとしながらも、妻Aの行為は不貞行為に該当するとしました。
 
生活のために必要であっても不貞行為は不貞行為ということですね。
 
以下は当事例の最高裁判所判決文です。
夫たる上告人に相当の責任があることはこれを認めなけれ ばならないが、およそ、妻の身分のある者が、收入をうるための手段として、夫の 意思に反して他の異性と情交関係を持ち、あまつさえ父親不明の子を分娩するがご ときことの許されないのはもちろん、被上告人と同様、子供を抱えて生活苦にあえ いでいる世の多くの女性が、生活費をうるためにそれまでのことをすることが通常 のことであり、またやむをえないことであるとは、とうてい考えられないのである。 しからば、事ここに至つたことについては、婚姻関係の維持のためかくべつの努力 を払つたことも窺われず、ことに被上告人の前歴を知つている上告人としても、そ の責任は決して軽くないが、他に特段の事情が認められないかぎり、上告人に、も つぱら又は主としてその責任があるものと断定することは困難である。
最判昭和38年6月4日

離婚で最高裁まで争った事例(2) 有責配偶者からの離婚を認める判決

有責配偶者(離婚に責任がある配偶者)のAは妻に対して、離婚を求めましたが拒否され、離婚のための裁判を起こしました。
 
一審・二審では、いかなる事情があるとしても有責配偶者からの離婚請求は認められないとした。
 
そこでAは、有責配偶者からの離婚を一切認めないのは明らかな法令違反であるとして主張し、最高裁に上告しました。
 
この判決で、
 
1夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間と比較して、かなり長期間に及んでいること。
 
2当事者の間に未成熟の子供が存在しないこと。 
 
3相手方配偶者が離婚により精神的、社会的、経済的に非常に苛酷な状況におかれることになるなど、離婚請求を認めることによって相手方が大きなダメージを受けるような事情がないこと
 
という要件を満たせば有責配偶者からの離婚を認められるとされました。
 
この判決は、有責配偶者からの離婚請求を条件付きで認めた有名な判決です。
 
あなたが有責配偶者で離婚をしたい場合には、よく確認してみましょう。
有責配偶者からされた離婚請求であつても、夫婦の別居が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当の長期間に及び、その間に未成熟の子が存在しない場合には、相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて苛酷な状態におかれる等離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情の認められない限り、当該請求は、有責配偶者からの請求であるとの一事をもつて許されないとすることはできないものと解するのが相当である。けだし、右のような場合には、もはや五号所定の事由に係る責任、相手方配偶者の離婚による精神的・社会的状態等は殊更に重視されるべきものでなく、また、相手方配偶者が離婚により被る経済的不利益は、本来、離婚と同時又は離婚後において請求することが認められている財産分与又は慰藉料により解決されるべきものであるからである。
最判昭和62年9月4日

離婚で最高裁まで争った事例(3) 精神病を理由とする離婚請求①

妻の精神病を理由とする離婚請求についてです。民法770条4項に、重い精神病についての規定があります。
 
一審・二審は離婚を容認したが、妻は明らかな法令違反(民法770条1項4号違反)として上告しました。
 
ここで上告された最高裁は、精神病の離婚について厳格な態度をとりました。
 
これにより、神病の場合の離婚請求については、配偶者にある程度今後の生活などに道筋がつかなければ厳しいものとの基準ができました。
 
精神病を原因として離婚したい方は要注意です。
民法七七〇条は、あらたに「配偶者が強度の精神病にかかり回復の見込が ないとき」を裁判上離婚請求の一事由としたけれども、同条二項は、右の事由があるときでも裁判所は一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは離婚の 請求を棄却することができる旨を規定しているのであつて、民法は単に夫婦の一方が不治の精神病にかかつた一事をもつて直ちに離婚の訴訟を理由ありとするものと 解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてできるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込のついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の請求は許さない法意であると解すべきである。
最判昭和33年7月25日

離婚で最高裁まで争った事例(4) 精神病を理由とする離婚請求②

精神病を理由とする離婚請求が最高裁で離婚が容認された場合もあります。

昭和45年11月24日の最高裁判決です。

妻が精神病で夫が離婚したい事例で、上告したのは離婚を容認した一審・二審を明らかな法令違反と主張する妻です。

この場合には、夫が誠実に妻の診療費等を支払っていることが考慮に入れられ、離婚が認められました。

精神病を原因として離婚したい方にとってこの事例は参考になるでしょう。

単に夫婦の一方が不治の精神病にかかつた 一事をもつて直ちに離婚の請求を理由ありとするものと解すべきでなく、たとえかかる場合においても、諸般の事情を考慮し、病者の今後の療養、生活等についてで きるかぎりの具体的方途を講じ、ある程度において、前途に、その方途の見込みのついた上でなければ、ただちに婚姻関係を廃絶することは不相当と認めて、離婚の 請求は許さない法意であると解すべきであることは、当裁判所の判例とするところである(最高裁判所昭和二八年(オ)第一三八九号、同三三年七月二五日第二小法 廷判決、民集一二巻一二号一八二三頁)。ところで、Dは、婚姻当初から性格が変つていて異常の行動をし、人嫌いで近所の人ともつきあわず、被上告人の店の従業員とも打ちとけず、店の仕事に無関心で全く協力しなかつたのであり、そして、昭和三二年一二月二一日頃から上告人である実家の許に別居し、そこから入院したが、 Dの実家は、被上告人が支出をしなければDの療養費に事欠くような資産状態ではなく、他方、被上告人は、Dのため十分な療養費を支出できる程に生活に余裕はな いにもかかわらず、Dの過去の療養費については、昭和四〇年四月五日上告人との間で、Dが発病した昭和三三年四月六日以降の入院料、治療費および雑費として金 三〇万円を上告人に分割して支払う旨の示談をし、即日一五万円を支払い、残額をも昭和四一年一月末日までの間に約定どおり全額支払い、上告人においても異議なくこれを受領しており、その将来の療養費については、本訴が第二審に係属してか ら後裁判所の試みた和解において、自己の資力で可能な範囲の支払をなす意思のあることを表明しており、被上告人とDの間の長女Eは被上告人が出生当時から引き続き養育していることは、原審の適法に確定したところである。そして、これら諸 般の事情は、前記判例にいう婚姻関係の廃絶を不相当として離婚の請求を許すべき でないとの離婚障害事由の不存在を意味し、右諸般の事情その他原審の認定した一 切の事情を斟酌考慮しても、前示Dの病状にかかわらず、被上告人とDの婚姻の継 続を相当と認める場合にはあたらない

最判昭和45年11月24日

離婚で最高裁まで争った事例(5) 強姦の場合

これは、夫Dが強姦事件に関与し、それを知った妻Bが不貞行為だとし、離婚を求めた判決です。

これは不貞行為として認められるのが当然であるとの意見は多いでしょう。

しかし、夫は不貞行為は”双方の”自由意志によるもので、強姦は相手の自由意志がないから不貞行為に当たらないので、離婚を認めた一審・二審は明らかな法令違反があると主張し、上告しました。

最終的に、最高裁は相手方の自由意志は不問として請求を棄却した。

妥当な結論といえるでしょう。

「配偶者に不貞の行為があつたとき。」とは、配偶者ある者が、自由な意思にもとづいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶことをいうのであつて、この場合、相手方の自由な意思にもとづくものであるか否かは問わないものと解するのが相当である

最判昭和48年11月15日

離婚で最高裁まで争うと言われた場合の対処法

最高裁まで争うのはかなり限定された事例が多いようですが、もし相手が最高裁まで争う意思があったらどうすれば良いのでしょうか?

離婚で最高裁まで争うと言われた!どうすれば良いの?

最高裁まで争うのはすごく難しいのがわかったと思います。

しかし、裁判にいく前には調停を経る必要があります。

焦らずに粛々と対応していきましょう。

かといって、いきなり自分一人で対応するのは極めて難しいので、弁護士に相談することをおすすめします。

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いざ離婚をすることになっても、協議が調わなければ、調停を経る必要があり、調停が不成立ならさらに裁判に発展する可能性があります。
 
また、裁判になると、争う内容が抽象的になるだけでなく、裁判官を説得できるよう主張をしていかなくてはなりません
 
そんなときに頼れるのが弁護士です。
 
調停のときから依頼者を法の専門家として代理してくれるため、有利な結果になるように導いてくれるでしょう。
 
裁判離婚を有利に進めるためには、弁護士に依頼するのがおすすめです。

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この記事の作成者

カケコム編集部