離婚を考える際に検討することは?知っておきたい法律知識・弁護士費用

記事監修

上田 貴之弁護士

上田&パートナーズ法律事務所

離婚を考える際に検討することはたくさんあります。勢いで離婚を切り出したはいいものの、裁判に膨大な時間がかかったり、結局離婚が認められなかったり、離婚後生活が苦しくなって、こんなはずじゃなかった…と後悔することがないように、まずはこの記事を読んでどうすべきか考えましょう!離婚を考える前に知っておきたい法律知識・弁護士費用について、上田貴之弁護士に解説していただきました。

目次

離婚を考える際に検討すること⑴ 相手が離婚に同意しているか 

相手が離婚に反対していると裁判にかかる時間が長くなる

離婚をする時にまず気にしなければいけないのは、そもそも相手が離婚に同意しているかどうかです。

①相手が離婚に同意しているが、その他の条件(慰謝料、財産分与、養育費などの金銭面や子どもの親権など)で合意できないのか
②そもそも離婚に反対しているのか

で、解決までにかかる時間がかなり違うためです

②相手が離婚に反対している場合は、通常、裁判にかかる時間がかなり長くなります(例えば、この場合の訴訟にかかる審理期間は、平均で大体3年から5年です)。

普通の民事訴訟(損害賠償など)の第一審の平均審理期間は、公表されているデータによると10ヶ月程度である(実際には、3ヶ月で終わるもの、1年以上かかるものがあり、ケースバイケースです。)ことと比べれば、離婚裁判は、相当時間がかかることがお分かりになると思います。

よって、まずは、どれくらい裁判に時間がかかるかを意識するために、相手が離婚に反対しているかを考えると良いと思います。 

弁護士費用について

裁判に3年から5年もかかることもあることもあり、離婚の際の弁護士費用は、それほど安くありません。

かつて利用が義務付けられていて、今も多くの事務所が使っていることの多い日本弁護士連合会の弁護士報酬基準では、離婚調停の代理を委任する場合の費用は着手金は30万円~50万円報酬金は30万円~50万円に財産的に得た利益の一定割合(例えば、得られた利益が300万円以下の場合は、その16%、得られた利益が300万円を超え3000万円以下の場合は、10%+18万円)を加えた額を標準に、事案に応じて調整することになっています。

また、離婚裁判の代理を委任する場合の費用は着手金40万円~60万円報酬金40万円~60万円+得られた利益の一定割合(調停の場合と同じ%)が標準です。

離婚成立後に必要となる法的手続をご依頼される場合は、別途費用をご相談となることが多いと思います。

バックアッププランを用意している事務所も

弁護士費用を抑えたい要望をお持ちの方が一定割合いること、案件としても、弁護士を立てると相手方に喧嘩腰ととらえられ、かえって離婚がしづらくなる場合もあったりすること等から、弁護士が前面に立たず本人同士に交渉してもらうが、その裏では弁護士が定期的にアドバイスを続けるというバックアッププランといえるものを用意している事務所もあります。

この場合は費用は、弁護士に代理人を頼むより安めに抑えられることが多いです。

相手の性格などを考えて、ご本人で交渉を続けたい場合などには、ご相談された事務所に、このようなプランがないか相談してみるといいでしょう。

離婚を考える際に検討すること⑵ 自分が有責配偶者かどうか

相手が離婚に反対している場合は、裁判で強制的に離婚を求めていく形になります。

その場合には、まず、自分が有責配偶者かどうか考えるべきです。

有責配偶者になると離婚が極端に認めてもらいにくくなるためです。

有責配偶者の場合、判例上の3要素(本来は、これら3つの要素等を総合的に考慮して離婚を認めるか決めようという意味なのですが、もはや3要件と言えるぐらいに厳しく判断されています。)のうち1つでも外れると、離婚がほとんど認められません。

その3要素とは、

①別居期間が両当事者の年齢及び同居期間との対比において相当長いこと
②未成熟子がいないこと
③相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に極めて過酷な状況におかれる等離婚請求を認めることが著しく社会正義に反するといえるような特段の事情のないこと(少し乱暴にまとめると、この3つ目は、要は、相手を離婚前と同じくらいの経済状況になるようにケアすることを言います。)

の3つです。

有責配偶者からの離婚請求は、認められないわけではありませんが、実際に認めさせるのはとても難しいのです。

また、意外と多いのですが、別居した後誰かと付き合い、肉体関係を持ってしまう方がいます。しかし、この場合、肉体関係を持ってしまうと、自分も有責配偶者になり、離婚が認められにくくなってしまうということが起こり得ます。

別居したとしても、法律上は夫婦であるため、貞操義務が残っているからです。ご注意ください。

離婚を考える際に検討すること⑶ 子どもとお金のこと 

以上のようなことを考えたうえで、それでも離婚を望む際には、子どもとお金のことを考える必要があります。

子どもについては、あとでお話しする養育費のほか、親権・監護権と面会交流(子どもと一緒に暮らしていない親、子どもと会わせる機会や方法)のことを考えなければなりません。

お金については、暫く別居をして離婚が成立するまでの相手の扶養としての婚姻費用、別れた後の子どもの扶養としての養育費、別れる時に財産を清算する財産分与慰謝料年金分割について考えなければなりません。

婚姻費用・養育費

↓こちらのインタビュー記事で解説しています

財産分与

財産分与とは、夫婦の共有財産(婚姻~別居までに取得した財産)を分けることです。

なお、名義が共有となっていなくても、財産分与の対象になりえますので、注意が必要です。

また、財産分与する場合には、とくに住宅などが、価値が高いこと、住宅ローンがある場合はどう払うのかなどの点を決めなければいけないことなどから、揉めやすいと言えます。

財産を分ける割合については、皆様いろいろな言い分があるところでしょうが、原則2分の1で分けられる運用です。

片方がスポーツ選手や医者など個人の能力により財産が増大している場合などには、2分の1ルールがゆがみ、片方の取り分が多くなることもありますが、特殊なケースでない限り、2分の1で分けられると考えておいた方がいいと思います。 

慰謝料

相手の不貞行為やDV、生活費の不払いにより、精神的損害を被った場合は、相手方に対し、損害賠償として慰謝料を請求することができます。
 
↓こちらのインタビュー記事で解説しています

年金分割 

年金分割は、婚姻中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を夫婦の間で分割するというもので、サラリーマン歴が長い方と離婚する際などには、とくに重要になります。

離婚を考える際に検討すること⑷ 離婚後に生活できるか

以上は法律的な面以外に、個人的には、何より、そもそも本当に離婚して生活できるかを考える必要もあると思います。

例えば、専業主婦だった方が熟年離婚する場合などには再就職も厳しいのが現状です。

その結果、離婚したものの、離婚後に生活保護を受けなければ生活できなくなったという方もいます。

また、お子さんがいる場合、お子さんに与える影響もかんがえてほしいです。

このようなことを考えながら、本当に離婚していいのか、生活できるのか考えたうえで、離婚を検討して欲しいと思います。

なお、どうしても許せないことがあるけれど離婚は難しいという場合は、夫婦関係円満調整調停という手を挟むのも一つの手です。

この調停では、夫婦でいる間の決まりごと、例えば「〜をしない」「◯時に帰る」などといった決めごとすらすることができます。よければ、利用を検討してみてください。