船越英一郎さん・松居一代さんの離婚調停が話題に!今知っておきたい離婚にまつわる問題〜不貞行為・DV・名誉毀損〜

記事監修

上田 貴之弁護士

上田&パートナーズ法律事務所

船越英一郎さん・松居一代さんの離婚調停が話題になっています。離婚はどうすれば認められるのか、どんな証拠が必要なのか、慰謝料の相場はどのくらいなのか、ご存知ですか?また、今回は松居一代さんが自身のブログや動画サイトに投稿した内容も問題になっていますが、名誉毀損による離婚や慰謝料請求は認められるのでしょうか?離婚にまつわる問題について上田貴之弁護士に聞きました!

目次

不貞行為と離婚について

不貞行為が立証できれば、離婚は必ず認められるのでしょうか?

そうとは限りません。

日本は離婚について、破綻主義を採っています。そのため、離婚を認めてもらうためには、婚姻関係が破綻していること、簡単に言えば、通常の夫婦として生活する関係が破綻していることを認めてもらえるかという、いわば程度問題になります。

その関係で、民法770条2項が、不貞行為などの事由があっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚請求を認めない権限を裁判所に認めています。

そのため、不貞行為が一回あったからと言って直ちに離婚が認められるわけではありません。

相手の不倫を理由として離婚を求める方は多いと思いますが、その際には、どのような証拠が必要でしょうか?

そもそも「不倫」「不貞行為」の意味の違いを理解する必要があります。

一般的には、配偶者以外の者とキスしたりすれば「不倫」をしたと言われると思いますが、この程度では、法律上の「不貞行為」にはあたりません。

法律上の「不貞行為」、すなわち、民法770条1項の離婚事由の1号にあたる「不貞行為」とは、肉体関係を持つこと、つまり姦通行為をいいます。

よって、肉体関係があったという直接の証拠(写真、ビデオなど)を入手できればいいのですが、ことの性質上、直接の証拠はまず手に入りません。

そこで、多くの場合、間接事実を使って不貞行為を立証することになります。

例えば、ラブホテルに二人で入っていく写真(証拠)から、「ラブホテル内に二人でいた事実」という間接事実を立証し、「ラブホテル内に二人でいた」→「ラブホテルでは、姦通行為が行われていることが多い」→「この二人も、ラブホテル内で姦通行為を行っているはず」という推認を使って、「ラブホテル内で姦通行為(不貞行為)を行っていた事実」を立証していくのです。

もっとも、ラブホテルに二人で入ったというだけでは、「入った後別れた」などの反論を許しかねないため、証明不十分となることが多いです。そのため、ラブホテルに入った証拠に加えて、二人で一緒にラブホテルから出てきた証拠を出して「入った後別れた」という反論をつぶし、入ってから出てくるまである程度の時間が経ったという証拠を出して「姦通行為を行わずに出てきたという反論をつぶす、というように、反論をつぶす証拠を複数出していくのが通常です。

ラブホテルではなく、ビジネスホテルの場合、宿泊記録を取ることが出来る場合もありますが、この宿泊記録には、同伴者の名前がないことが多く、これだけだと証拠として使うのは難しいことも 多いです。そこで、たとえば、料金などをもとに二人で宿泊していたことを立証して、これに何らかの証拠を加えて、宿泊した相手が不貞行為の相手方であることを立証したりします。

このように、不貞行為の立証には、様々な証拠が必要となるため、不貞行為を立証していく過程で、調査会社を使うこともありますが、調査会社の料金は高額になることも多く、また、調査会社を利用しても空振りになることも多いので、利用には注意が必要です。また、調査会社の利用料金を相手方に請求できるとも限らないため、調査会社を利用するか迷ったら、その時点で弁護士に相談するのが良いことも多いと思います。

また、相手のメール、LINE、Facebook上にある二人のツーショット画像などが証拠として使えることも多いのですが、これらの証拠を集める際は、不正アクセス禁止法違反等にならないように注意すべきです。

なお、このように、不貞行為があったと認めてもらうためには、通常、肉体関係をもったことの立証が必要になるのですが、裁判例の中には、男性側が「EDのため姦通行為はできなかった」とその旨の診断書を証拠提出しつつ主張してきた場合でも、異性とラブホテルで過ごしたという事実自体が、不貞行為と同視できる」として、慰謝料請求を認めた例も稀にあります。

不貞行為か疑わしい場合、やはり弁護士に相談するのがベターでしょう。

不貞行為が認められた場合の、慰謝料の相場はいくらくらいでしょうか?

ケースによってまちまちです。はっきりとした相場はありませんが、200〜300万が多いように感じます。

一応、有責性の高さ、婚姻期間の長さ、相手の収入の高さ、こちらの収入の高さ、夫婦の間に未成年の子どもがいるか否かといった要素が、慰謝料の金額を判断する上での一般的な基準となっています。また、その不貞行為が原因で離婚したか、離婚せずに慰謝料だけ請求しているのかによっても慰謝料の額は変わります。

ちなみに、芸能人などで、多くの財産や高額の収入を持っているケースでも、慰謝料の額は一般人のケースに比べそれほど高くならないことも比較的多いです。他方で、このような夫婦の離婚では、婚姻中に築いた財産も多いため、財産分与の金額が大きくなることも多いのですが、相談にいらっしゃる方の中には、財産分与が高くなったことを慰謝料が高くなったものと勘違いされている方も多いように感じます、、、。

DVと離婚について

DVされたことを理由に離婚は認められるのでしょうか?

DVを理由に、裁判で離婚を求めるには、DVが、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」にあたる必要があります。

不貞行為のように、民法770条1項の法定離婚事由の1号から4号に挙げられているものは、簡単に言うと「それをやったら離婚を認めてもいいよね」という典型例で、5号は「他にも離婚を認めていい場合があるよね」というケースで使われます。5号はこぼれたものを全部拾うためのバスケット(かご)のイメージです。

第770条
  1. 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
    一 配偶者に不貞な行為があったとき。
    二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
    三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
    四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
    五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
  2. 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。

よって、DVだけを理由に、離婚を認めさせるためには、DVによって婚姻関係が破綻し、「婚姻を継続しがたい重大な事由」が存在していると主張立証する必要があります。

相手からのDVを理由として離婚を求める方も多いと思いますが、その際には、どのような証拠が必要でしょうか?

DVと一口に言っても、その内容は、肉体的なDVだったり、精神的なDVだったりします。

そのため、いろいろなものが証拠として提出されます。

DVは家庭内の問題なので、「殴った・殴ってない」「言った・言ってない」という言い合いになることも多く、またさきほど話したように様々な態様で行われるため、証拠収集が困難になることも多いのですが、身体的なDVの場合、証拠となるものを比較的イメージしやすいでしょう。

例えば、配偶者に殴られたというDVの場合、今は、怪我をさせられた直後に、配偶者や自分の親などに、怪我の写真を送っていたりするので、そのメールやメッセージの本文とともにも証拠提出したりします。これに加えて、診断書によって怪我したことを立証しますし、警察に被害届が出されていれば、これも合わせて提出します。通常、被害届には、誰によって怪我をさせられたかが書いてあり、被害届によって、配偶者に殴られた事実を立証できるためです。

精神的なDV(言葉によるものなど)だと、たとえば、相手の発言の録音データなどが証拠として考えられますが、このような証拠が残されていないことも多かったり、このような証拠がなぜDVにつながるか、の証明が難しいことも多く、立証が難しい場合も多いです。

このような場合、当事者の発言を陳述書にして立証せざるを得ないことになります。もっとも、争いの当事者の発言は、客観性に欠けるなどの理由から、一般的には、証拠としての価値が低く、このような証拠しかない場合、苦しい戦いを強いられることが多いのが実情です。

DVが認められた場合の慰謝料の相場はいくらくらいでしょうか?

DVの慰謝料は不貞行為に比べ相場が探しづらいのが現状です。

暴力の内容などが極端な例では、500万などの損害賠償も認められてはいますが、50万などの例もあり、私見では、DVが認められた場合の慰謝料は不貞行為よりは低くなっていると感じています。 

名誉毀損と離婚について

相手に名誉を毀損されたこと等を理由に、離婚を求めることはできますか?

DVと同様、名誉毀損を理由に離婚を求める場合、5号の「その他婚姻をし難い重大な事由」が存在するかどうかを争うことになります。

一般的には、芸能人や政治家の方が、一般の方より名誉毀損は認められやすいのですが、そもそも名誉毀損を理由に離婚を求めたケースや、離婚を認めたケースは少ないと感じています。

結婚相手による名誉毀損が認められた場合の慰謝料の相場はありますか?

このような例があまりないため、相場は示しづらいです

離婚の話ではないのですが、裁判例の傾向としては、名誉毀損は、一般人よりも著名人・公人の場合の方が認められやすい上、慰謝料の額も高くなることが多い反面、一般人については、そもそも名誉毀損が認められづらい上、慰謝料の額も100万円以下の少額に留まる例が多いです。

なお、名誉毀損に対する慰謝料の額は、どのような情報を明かされたかによっても変わります。例えば、犯罪の前科が明かされた場合には高くなることが多いですが、氏名などが明かされたにすぎない場合などは、そもそも名誉毀損が認められづらい上、名誉毀損が認められた場合の慰謝料も低くなりがちです。

ちなみに、配偶者による名誉毀損、というより配偶者が脅迫をした事案についてですが、相手が不倫(ただし、キスまで)をしていた事案で、不倫をされた側が、慰謝料の支払いを求める際、相手に対し慰謝料を支払わなければ不倫をしていることを相手の勤務先に告げる旨を告知した行為について、200万円弱の損害賠償が認められたことがあります。

不倫をされた側は、被害者意識の強さからか、執拗な督促や過激な行為に及んでしまうことも多いのですが、そのような行為をすると、あとで不利になることもあるため、注意が必要です。

なお、芸能人同士の夫婦が、相手に対し、相手によって名誉毀損されたことを理由に離婚を求めつつ、慰謝料を請求したことに対する裁判例もあまり見当りません。そもそも、離婚に関しては、あまり外に情報を出さないことが多いことが影響しているのだと思います。

ちなみに、離婚に関する争いでは、プライベートな話題に多く触れるため、和解の際、離婚の過程や慰謝料の額等を公表しないよう、第三者への口外禁止条項というものを和解内容にすることもありますが、芸能人のように、社会的に注目される方の場合、このような条項を設けることが望まれる可能性は高くなると思います。

夫婦の片方が不貞行為を行いつつ、その相手の方でも名誉毀損などが認められる場合、慰謝料はどのように支払われるのでしょうか。相殺されて、どちらかだけが払うことになるのでしょうか?

あまり公表された例はありませんが、調停や和解の際に、慰謝料の額を減額するために、相手にも不法行為が成立することを調停や和解の際の交渉材料にすることはあります。また、お互いに損害賠償しあうことを認めている例もあります。さらに双方に婚姻破綻の原因がある場合には、慰謝料請求を認めないこともあります。

先ほども話したとおり、特に不倫をされた場合などには、不倫をされた側は、被害者意識の強さからか、執拗な督促や過激な行為に及んでしまうことも多いのですが、そのような行為をすると、あとで不利になることもあります。

離婚や慰謝料を求める際には、その請求方法にも注意すべきでしょう。

自分のケースでは離婚は認められるのか、証拠は何が必要なのか、慰謝料をできるだけ多くもらいたいなど、離婚について悩まれている方は、ぜひ上田先生に相談してください!

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