不当解雇で裁判起こせる?不当解雇を疑ったらまずは弁護士に相談を

間違ったことをしていないのに解雇されてしまうことを、不当解雇といいます。本来許されるはずがない不当解雇は、不当解雇の裁判などで勝てば取り消されますが、そこに至るまでに相当な労力が必要になります。そこでぜひ「解雇のルール」について知っておいてください。簡単な知識を身に付けておくだけで、将来の大きな武器になり「骨折り損のくたびれ儲け」にならないで済みます。

目次

解雇に納得が行かない?不当解雇であれば裁判を起こし慰謝料請求することも可能です

 

労働者が相当悪いことをしなければ、解雇は成立しません。うっかりミスが続いたくらいでは、解雇される心配はありません

しかし「解雇のルール」を知らないと、社長や管理職という強くて恐い存在から「お前のような奴がうちの会社に居られるわけがないだろ」とすごまれたら、思わず「分かりました」と言ってしまうでしょう。

労働者は弱い立場にあります。だから労働法が守ってくれるのです。

しかしその労働法のことを知らなければ、どこに助けを求めたらいいか分かりません

解雇のルールを知っておけば、「この解雇はやっぱり納得がいかない」と思うことができますし、裁判を起こして慰謝料を請求することもできるんです。
 
もしこの記事を読んでよくわからないことがあれば、弁護士に相談することをオススメします。
 
それでは不当解雇の裁判について解説します。 

不当解雇で裁判を起こせるのはこんなとき|不当解雇となるケースとは


それではまず、不当解雇となるケースをみてみましょう。次の4つのケースに当てはまる解雇は、裁判で覆すことができる可能性があります。

不当解雇になるケース(1) 就業規則に書かれている解雇理由として認められない場合

会社は「労働者がこういうことをしたら解雇をする」ということを定めています。それに該当しない理由で解雇されたら、それは不当解雇になる可能性があります。

「労働者がこういうことをしたら解雇をする」というルールは、就業規則に書いてあります。

もしあなたが「これまで一度も就業規則を読み通したことがない」とか「というか、うちの会社にも就業規則ってあるの?」という状況でしたら、まずは就業規則を手に入れて、よく読み込んでください

会社は就業規則をつくらなければいけませんし、それを労働者に見せる義務もあります。
 
就業規則の記載が抽象的であり、自分が該当するのかよくわからないというケースも多々あります。そのような場合はいち早く弁護士に相談することをお勧めします。

不当解雇になるケース(2) そもそも就業規則規定自体に合理性がない場合

では、会社の就業規則に「労働者がこういうことをしたら解雇をする」と書いてあり、あなたが「そういうこと」をしてしまったら、即解雇になってしまうのでしょうか

そんなことはありません。労働契約法7条により、その就業規則の解雇規定がそもそも「おかしい」場合、就業規則の解雇事由規定は無効となります。

この場合、解雇事由通りの行為をしてしまった場合の解雇も不当解雇となります。

もっとも、無効となる場合は限定的でしょう。

不当解雇になるケース(3) 社会的な相当性・客観的な合理性が認められない場合  

有効な就業規則に規定される解雇事由に当てはまってしまった場合でも、労働契約法16条により、「客観的な合理性がない」場合や「社会通念上の相当性がない」場合には不当解雇となります。

労働法は簡単に解雇が有効にならないように、労働者を保護してくれているといえますね。

これらが認められる場合は、他の同じような労働者が解雇されていないのにある労働者を解雇してしまう場合や、使用者側のミスにより解雇事由に該当してしまった場合に会社側が解雇をしてしまうときなどに問題となります。

不当解雇になるケース(4) 解雇の正当な手続きを踏んでいない場合 

もし「解雇やむなし」という状況に陥っても、すぐに解雇されるわけではありません。

会社は、労働者を解雇するときに解雇予告をしなければならず、さらに解雇予告は解雇日の30日前までに行う必要があります。30日前に解雇予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金を会社側は支払わなければなりません。

つまり30日前の予告も解雇予告手当の支払いもない場合、会社側は「今日付けで解雇だ!」と言うことはできないことになります。

例外として
  • 会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があった場合
  • 2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合

などの懲戒解雇に当たる場合には、「従業員の責に帰すべき事由」があったとして、労働基準法20条により、会社側は「除外認定申請」を出すことができます。

それが受理されると解雇予告が不要になります。

不当解雇になるケース(5) 整理解雇の4要件を満たしていない場合(整理解雇の場合) 

解雇は解雇事由に該当に正当化されますが、次の2つのケースでは、労働者にまったく落ち度がなくても「正当な解雇」となります。

①天災地変などにより事業が継続できない

②整理解雇

ここでは②のケースをみてみましょう。

整理解雇の「整理」とは、「会社の経営が悪化して、従業員を整理しなければならない」事態のことをいいます。

しかし、もし簡単に整理解雇が正当化されてしまったら、経営者が「あいつは俺の言うことをきかないから追い出したい」と思ったときに、わざと経営を悪化させて解雇することができてしまいます。

そこで判例では、整理解雇するときの「4要件」を設けています。

A:客観的にみて整理解雇が必要である

B:解雇しないよう最大限の努力をした

C:解雇対象者の人選基準・運用が合理的である

D:労働者と十分協議した

つまり、整理解雇が正当化されるのは、整理解雇をしないと会社が倒産して全従業員の仕事が失われる、というギリギリの状況のときのみなのです。
 

不当解雇で裁判を起こす前に・・労働審判を申し立てることができます

「これは不当解雇だ」と感じた労働者が、「会社側と話すよりは厳しい方法」で、でも「裁判を起こすよりはマイルドな方法」を希望したとき、労働審判があります

解雇する・しないでこじれたときによく使われる方法です。

労働審判とは

解雇問題に陥った労働者の多くは、同時に「次の仕事をどうしよう」という難題を抱えます。

そのため、解雇に関する争いは、迅速に進むことが望ましいのです。

そこで労働審判では、労働審判官と呼ばれる裁判官1人と、2人の労働問題の専門家で問題解決に乗り出します。

労働問題の専門家のことを、労働審判員といいます。

「この解雇は不当だ!」と訴える労働者を「申立人」といい、「いや、うちは正当な解雇を行った」と反論する会社側を「相手方」と呼びます。

労働審判官、2名の労働審判員、申立人、相手方が集まって内容を吟味する審理は、原則3回しか開かれません。

申立人である労働者と、相手方である会社側は、3回の話し合いで審判を決着させなければならないのです。

労働審判を申し立てる方法と実際の審理

次に、労働審判の申し立て方法について解説します。

解雇に関するトラブルを抱えた労働者は、まずは地方裁判所に行きます。

そこで申立手数料などを支払います。

3回行われる審理では、証拠について調べられます。

つまり、労働者は「この解雇は不当」と主張するだけの証拠を出さなければいけませんし、会社側は「この解雇は正当」とする証拠を提出しなければならないのです。

審理を開始して、労働者と会社側の双方に話し合いによる解決の余地があれば、調停を行います。

調停とは、簡単にいうと「妥協点を探る」ことです。

「会社は解雇は取り消すが、労働者は自主退職する」とか「解雇は実施するが退職金は支払う」といったところが、落としどころになるでしょう。

それでもダメなら不当解雇の労働裁判へ

労働審理は「迅速」「簡単」という利点がありますが、狙いは「妥協点を探ること」にあります。ですので「あそこで妥協しなかったら、もっと得られるものが大きかったのに」という後悔が残る可能性があります。

「そんな妥協はしたくない」「この解雇は明らかに間違い」と考える労働者はどうしたらいいでしょうか

また、労働審理の話し合いで納得できなかったらどうしたらいいでしょうか。

いずれの場合も、裁判所に訴訟を起こすことができます。いわゆる労働裁判です。

まずは弁護士へ相談を

労働裁判を起こすためには、必ずしておいた方がいいことがあります。それは良い弁護士を見つけることです。

労働裁判は民事裁判なので、弁護士なしで闘うこともできますが、もし本気で「勝ちたい」と考えているならそれは無謀です。

できれば、労働裁判の「前段階」の労働審判の時点で、弁護士をつけた方がいいでしょう。

解雇の場合は返ってくる金額のほうが高い場合も非常に多いです。
 
それでも費用が心配な方はいくつかの弁護士に相談だけでもしてみてはいかがでしょうか?
 
また、通常会社側は優秀な弁護士を雇う資力も上であることが多いものです。
 
一般の方が弁護士なしで裁判に挑むことは不利になる可能性がかなり高いです。

不当解雇の裁判を見越して証拠を集めておきましょう

不当解雇を受けた労働者の強い味方になる弁護士ですが、「証拠集め」は労働者自身が行わなければなりません。

会社の就業規則やタイムカード、勤務日誌、出勤簿などが証拠になりますが、弁護士が会社に乗り込んで「押収」することはできません。

また、例えば解雇理由が「仕事のスピードが遅すぎるため」だった場合、労働者は「きちんとした仕事の指導を受けてない」という証拠を出さなければなりませんが、これも弁護士では用意できません。

あなたが、「自分が受けた業務指導は○○だけで、これでは仕事のスピードを上げることは不可能」ということを示さなければならないのです。

証拠は裁判を見越して集めておく必要があります。

不当解雇の裁判で請求できる金額は?

不当解雇の労働裁判で勝ったときに得られる金額は、とても気になるところだと思います。

いくら「損はしない」といっても、得られるおカネがあまりに少額では「わざわざ訴訟を起こすのもなあ」と思ってしまいます。

裁判で不当解雇が認められれば、職場に復帰することができます。

それだけではありません。不当解雇として解雇の無効が認められた場合、解雇とされた期間中の賃金までもらうことができます

これは意外に思う人も多いのではないでしょうか。

解雇とされた期間働けなかったのは会社側が不当解雇を有効だと勘違いしたからなので、その責任は会社側に負ってもらう、というのが労働法の考え方なのですね。

また、「解雇は不当だが、そんなことをする会社に戻りたいとも思わない。でも不当解雇を認めるわけにもいかない」と考える労働者が裁判を起こすこともできます。

この場合にも解雇とされた期間中の賃金をもらうことができます

会社に戻る気がない場合でも、訴訟を起こすメリットがかなりあるということですね。
 
会社側はなるべく訴訟に持っていかないようにしたいはずですから、早い時期に弁護士を立てて交渉することで多額の金銭を得られる可能性があるといえるのです。
 
不当解雇は決して泣き寝入りしてはいけない法律問題だといえますね。

不当解雇の裁判で重要な証拠とは?不当解雇を訴えたいなら必ず確保

不当解雇を訴える際に証拠が必要であることは解説した通りですが、具体的に何を用意しなければならないのでしょうか。

雇用契約書・就業規則

就業規則と同じくらい大切なのは、雇用契約書です。

もしあなたが「あれ? 雇用契約書なんてあったっけ?」と思ったら、すぐに会社に取り寄せておいてください。
 
解雇するしないとモメ始めてから、会社に「雇用契約書のコピーをください」と言ったら、「裁判を起こす気か」とバレてしまいます。
 
そうなると会社に証拠隠滅をされてしまいます。

解雇予告通知書と解雇理由証明書

「解雇だ!」と言われたら、「解雇予告通知書」をもらってください。

会社は、解雇日の30日以上前に解雇予告をしなければなりません。

「日付」が重要なので、「書面を入手する」ことは、不当解雇の証拠集めの鉄則です。

「口頭での解雇予告」では、言った言わないの水掛け論で終わってしまいます。

そして、さらに重要なのは「解雇理由証明書」をもらうことです。

解雇予告通知書の中にも「解雇理由」は書かれてあるのですが、その内容は「就業規則第○条に抵触するため解雇とする」といったシンプルなものです。

しかし「解雇理由証明書」には、解雇に至った経緯を詳しく書かなければなりません。
労働者と弁護士が力を合わせて、そこに書かれてあることは「事実ではない」と証明できれば、勝訴にぐっと近づきます

メール

証拠集めの中で最近特に注目されているのは、電子メールです。

上司とのやりとりは消去しないでおいてください。LINEも重要な証拠になります。

メールもLINEも、「文面」だけでなく、「送信者」「日時」も保存しておいてください。

解雇に関してのやりとりを記録したもの

解雇を通告した上司との会話は、録音することを考えましょう。

録音が難しい状況にあるなら、せめてメモ書きしておきましょう。

労働者が書いたメモが裁判の証拠になる場合があります。

書いておいて損はないはずです。

その際、重要なのは「詳細に書くこと」です。登場人物名はフルネームで書き、日時、場所も記しておきます。

相手や自分の言葉やセリフは「」を使って記録しておいてください。良い書き方と悪い書き方は次の通りです。

良い書き方:上司の××課長は「バカヤロー」「死ね」が口癖でした。そのときも××課長は「バカヤロー、お前なんか解雇だ」と言い、周囲には同僚の○○さんや△△さんもいて、その怒声を聞いています。○○さんが「こんなところで言わなくても」と止めに入ってくれましたが、××課長は「俺は命をかけて、こいつ(私のこと)を辞めさせるんだ」とさらに大きな声を上げました。

悪い書き方:強い口調で解雇を言い渡されたので、とてもショックでした。その上、社内の別の部署の人や顧客もいたので、恥をかかされました。人からこんな大声で叱られたことがないので、とてもつらく感じました。

詳細にリアルに書くこと、そして客観性を持たせることがコツです。

不当解雇を訴える裁判をお考えなら|まずは弁護士へ相談を

不当解雇については、社内で「なんか変な雰囲気になってきたな」と感じた段階で弁護士に相談してもOKです。

というのも、会社の方が通常法的知識も豊富であり、「不当と言われないような不当解雇」を仕掛けてくるおそれがあります
 
それにあなた1人で対抗するのは無謀です。弁護士の力を存分に借りましょう

裁判をしなくても解決?、弁護士に相談すれば会社が態度を変えるかも

労働裁判で力を発揮してくれる弁護士ですが、実は裁判以外でもパワーを見せてくれます。

不当な解雇通告を受けた労働者が、経営者や上司に対し「弁護士から『退職手続きは一切応じるな』と言われています」と言うだけで、流れが変わる可能性があります。

裁判は長くつらく面倒臭いものです。弁護士なら「戦わずして勝つ方法」も伝授してくれます。裁判をしないで問題解決する方法を知っているからです。

相談は早めにしておくのが◎

証拠集めには時間がかかります

例えば、就業規則を社員に配布せず、「就業規則を確認したい人は総務部のデスクで閲覧するように」としている会社は珍しくありません。

労働者が就業規則を借りてコピーしようとすれば、総務部長は「それをコピーしてどうしようというんだね」と尋ねるでしょう。

そのとき「今度、会社を相手取って不当解雇の訴訟を起こすので、証拠として必要だからです」とは言えません。

そうなると「別の手」を考えなければならず、時間がかかります。

また、「解雇通告されたときの様子のメモ」をつくらなければなりませんが、登場人物や日時を正確に思い出すには時間がかかります。

だから、早めに弁護士に相談することが重要なのです。

弁護士があなたに「こういう方法でこれとあれを用意してください」と指示をしてくれます。揃えられた証拠が多ければ多いほど、裁判で勝つ確率が高まると考えてください。

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不当解雇で裁判起こせる?不当解雇を疑ったらまずは弁護士に相談をのまとめ

不当解雇を受け入れないでください

「確かに私も悪かったかもしれない。でも解雇されるようなことはしていない」と思ったら、その直感を信じてください。

自分が自分を信じなければ、不当な我慢を強いられるだけです。

また「不当解雇の場合、労働者は法的知識の豊富な会社に丸め込まれる危険もある」ということも覚えておいてください。

何しろ会社は、社長、役員、総務部長、直属の上司と、「仲間」がたくさんいます。

一方、不当な解雇を言い渡された労働者は1人で対応しなければなりません。

信頼していた同僚も、仮にそれが不当であろうと解雇を言い渡されたあなたに近づきたくないと考えるのは、サラリーパーソンの本能です。

そのためには、弁護士事務所の労働相談をフル活用してください。
 
労働問題専門の弁護士は「不当解雇を許さない」という熱い気持ちを持っています。

労働問題に強い弁護士に相談する

この記事の作成者

カケコム編集部