婚外子に相続権はあるの?|相続権を得るためには認知が必要!

非嫡出子・婚外子には相続権がないのでしょうか?結論から言うと、実は認知によって相続権は発生します。認知の手続きや相続権が発生するまでの手順を解説します!

目次

 婚外子には相続権がないと思っていませんか?

 不倫関係の愛人がいて、婚外子ができてしまったという話も珍しくない世の中になりました。
 
結婚をしていない立場だから、愛人と非嫡出子の立場はあらゆる面で不利だと思っている方も多いと思います。
 
でも実は違います。父親に万が一のことがあった場合、婚外子(非嫡出子)でも相続権が発生する場合があります。
 
そもそも婚外子(非嫡出子)とはどういうことを指すのか?どうすれば相続権が発生するのか?気になる認知の問題など、婚外子(非嫡出子)の悩みを解決する内容をまとめてご紹介します。
 
ぜひ参考にしてみてください。

婚外子(非嫡出子)と嫡出子とは?

まずは婚外子(非嫡出子)の意味から見ていきましょう。

婚外子(非嫡出子)・嫡出子とは?

婚外子(非嫡出子)とは法律上結婚していない男女の間にできた子供のことをいいます。
 
よくあるパターンだと男性が既婚者で女性がいわゆる愛人や不倫相手であり、女性が妊娠した場合が考えられます。
 
逆に、嫡出子は法律上結婚している男女の間にできた子供のことをいいます。

嫡出子(1) 推定される嫡出子とは?

実は嫡出子には2種類あります。そのひとつが「推定される嫡出子」です。
 
婚姻中に妊娠した場合は夫の子と推定され、結婚が成立して200日後もしくは婚姻の解消(離婚)の日から300日以内に生まれた子供は婚姻中に妊娠したと推定されます(民法772条2項)
 
「推定」とある通り、実際には女性が夫以外の男性との間に子供を作ったという場合には推定を覆すことができます。
 
このことから夫が自分の子供ではないという疑いを持った場合は嫡出否認の訴えを提起する権利があります。
 
子供が生まれたことを知ってから1年以内という期限がありますから注意をしましょう。

民法第772条

1.妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2.婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

嫡出子(2) 推定されない嫡出子とは?

推定されない嫡出子とは民法722条の条件に当てはまらない嫡出子のことです。
 
授かり婚やできちゃった婚と呼ばれる、婚姻前に妊娠をした場合これに当てはまる可能性があります
 
婚姻して200日後に子供が生まれれば良いのですがそうではない場合が多いからです。
 
もっとも、婚姻前に妊娠をしても法律上の婚姻関係にある夫婦間にできた子供に変わりはありません。
 
したがって、子供が推定されない嫡出子になる場合には、認知などの特別な手続きは必要ないこととなっています(戸籍実務 大連判昭和15・1・23大民集19巻54頁参照)。
 
特に推定されない嫡出子ということで不便が起こることはありませんが、推定を受ける嫡出子の場合と異なり、親子関係不存在確認請求をされるおそれがある点で、法的に若干親子関係の安定性が弱いということに注意は必要です。

婚外子に相続権はある?ない?

話を婚外子(非嫡出子)に戻します。婚外子(非嫡出子)には相続権の権利はあるのでしょうか。

認知によって相続権が認められる

婚外子(非嫡出子)であっても、その子供が父親により認知をされれば嫡出子と同じく相続権が認められます。
 
婚外子(非嫡出子)だからといって諦めないようにしてください。
 
問題は認知してくれるかしてくれないかになります。
 
認知を望んでいるにもかかわらず、認知をしてくれない場合には、認知請求(強制認知・裁判認知)を検討しましょう。
 

相続分は法律改正によって実子と同額に〜相続分の違いは違憲と判断〜

気になる相続分ですが、婚外子(非嫡出子)と実子(嫡出子)とでは相続分が変わってくるのでしょうか。
 
平成25年12月5日に民法が改正されるまでは婚外子(非嫡出子)と実子(嫡出子)では相続分に差がありました
 
実子(嫡出子)が受けた1/2の金額が婚外子(非嫡出子)の相続分と定められていました。
 
これが違憲であると判断され、相続分の変更をされることになりました(最大判平成25・9・4民集67巻6号1320頁)。
 
子供には何の罪もないのに相続分の金額に差がでるのは確かに不平等ですよね。
 
現在では実子(嫡出子)と婚外子(非嫡出子)の相続分に差はなく、同じ金額の相続をすることができるようになりまし

婚外子が認知によって得られる権利は相続権だけではありません!

相続権を発生させるために認知をしてもらう必要があるといいましたが、認知によって婚外子が得られる権利は他にもあるんです。

父親に扶養義務が生じる

認知をすることで親子関係が証明されるわけですから、父親に扶養義務が生じます
 
子供が生活に困っている場合は、婚外子(非嫡出子)でも父親に扶養を受ける権利あるということです。

養育費の請求ができる

扶養義務の一内容として、子供が未成熟子(未成年子のことではなく、経済的に自立する前の子供をいいます)である間は、離婚した一方は他方に養育費を請求することができます。
 
認知により法律上の親子関係が認められれば養育費を請求する権利がありますし、養育費を支払う義務も生じます
 
子供が未成熟子の場合は、子供のためにもしっかりと養育費と請求し、成人するまで責任を持って扶養してもらいましょう

親権の受け渡しも可能になります

未婚の二人の間に子供が生まれた場合、まず母親が親権者となります。

ですから結婚している夫婦のような共同親権は認められませんし母親が勝手に親権を変更することはできません。

ですが父親が認知をしたら親権者の変更、つまり親権を受け渡すことも可能です。
 
一方が、他方が子供を育てていけないと判断できる場合には親権の変更を協議により決めることができます。
 
現親権者がそれを拒めば家庭裁判所に調停・審判を申し立てることができ、最終的に裁判所が親権者を決定します。

婚外子に相続が認められるための”認知”の方法

愛人との間に子供ができてしまった時、父親が認知をしてくれないと泣き寝入りする愛人の方もいます。認知について確認しておきましょう。

認知の2つ方法

認知には大きく分けて2つの方法があります。
 
ひとつは任意認知です。父親の意思により認知届を提出するのを任意認知と呼びます。

任意認知は父親(もしくは子)の本籍地に認知届けを提出することで完了します。
 
任意認知は母親や子供自身の同意は必要ありません(ただし子供が成人している場合は子供本人の同意が必要)。
 
みんながみんな任意認知をしてくれれば良いのですが、任意で認知をしてくれない場合や話し合いにすら応じてくれない場合も多いです。
 
そんなときにできるのが強制認知です。具体的には家庭裁判所に認知調停を申し立て、それでも認知に折り合いがつかなければ家庭裁判所の審判、そして裁判を起こすことになります。
民法第787条
子,その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から3年を経過したときは、この限りでない。

父親が未成年であっても認知に親の同意は不要

婚外子の父親が未成年であるケースは少なくありません。
 
その場合でも認知届を出しておかないと子供に父親がいない状態となってしまいます。
 
父親が未成年であっても親の同意なしで認知届を出すことが可能です。
 
父親側が未成年であることや親の同意を得られないことを楯に認知を拒んできたとしても、認知に年齢も親も関係ありませんので認知してもらうよう請求することが可能です。
民法第780条

認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。

母親から父親に認知請求が可能|愛人からも可能

愛人の立場であっても父親に認知してもらうよう請求することは可能です。
 
その請求に応じて父親が認知届を提出してくれれば任意認知となります。
 
認知請求することは母親にしっかりと認められた権利です。
 
任意認知を拒否したとしても上記の強制認知手続きで認知請求をすることができます。

婚外子の相続にはトラブルがつきもの|まずは専門家に相談を

婚外子(非嫡出子)の相続権は認められていますし、相続分も嫡出子と同時ではなかったことが違憲であると認められ、婚外子の立場としては改善されてきました。
 
それでも実子(嫡出子)を持つ母親や親族からはどうしても疎まれることがあります。
 
あの手この手を使って、権利の行使を阻止したり父親との関係が本物かどうかの立証をしようとしてくるケースも多いです。
 
そうなった場合の対処には専門的な知識が必要になりますし、あなたひとりで戦うのは精神的にも辛いものがあります。
 
ですから婚外子の相続を巡るトラブルは泥沼化を避け有利な解決に期待するためにも専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
 
婚外子が生まれたばかり、生まれる予定のある方は認知の手続きが必要な段階から弁護士に相談しておくと、裁判所手続きを含めた認知請求がスムーズになり、後々のトラブルも回避することができます。
 
早めの相談と対策が功を奏します。まずは法律相談をして法的なアドバイスをもらいましょう。

婚外子に相続権はあるの?〜相続権を得るために必要な認知とは〜のまとめ

いかがだったでしょうか。どうしても実子(嫡出子)と比較すると不遇だと思われがちな婚外子(非嫡出子)ですが、相続分が均等になったり認知により扶養される権利ができることで、その差は埋まりつつあります
 
しかしまずは父親に認知をしてもらわなければ相続権は発生しません。認知の手続きは複雑で専門的な知識も必要になりますので専門家に相談した上で行うことをおすすめします。
 
あなたとあなたの子供に明るい未来のためにも、認知をしっかりとしてもらい権利を主張していきましょう!

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この記事の作成者

ジコナラ編集部