未払い残業代の請求には時効があるって知ってた?残業代は早いうちに取り戻せ!

働いている時間に比べて、勤め先から支払われている給料が少ない・・・という場合、正当な残業代が支払われていない可能性があります。そのような場合には、未払い残業代の支払請求を行うことができることになります。もっとも、過去の分をどこまでもさかのぼって請求できるわけではありません。実は残業代請求の時効が存在するのです・・・!

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未払いの残業代の請求の時効に注意!大切な残業代がなくなってしまうかも?

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未払い残業代を請求するのに時効があるって知っていましたか?
 
 勤めている会社に対して、未払い残業代を請求するのは心理的にも中々難しいところがありますよね。でもそんなことを言っていても残業代請求の時効までの時間は止まってはくれません・・・

いつまでも放っておいたら、大切な残業代が時効によって請求できるものもできなくなるかもしれません。あなたの大切な給料はなるべく早めに!取り返しましょう。ということで今回は残業代請求の時効について解説していきます。

未払い残業代請求の時効とは?

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未払い残業代について、いつまでもこれを請求できるかというと、そうではありません。下記で説明しますが未払い残業代については2年間、退職金については5年間という時効が定められています。

未払い残業代請求の時効(1)  未払い賃金の時効は2年

労働基準法115条には賃金(退職手当を除く)の請求権は2年間行わない場合においては、時効によって消滅すると規定されています。
この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
労働基準法115条
未払い残業代も賃金請求権の一種である以上、かかる規定により2年間の消滅時効にかかることになりますので、この点については注意が必要です。
 
この規定は労働者の生活保護、という側面と、会社にとっての法律関係の安定(いつまでも請求される可能性がある、ということになると、会社経営が不安定になりすぎてしまう。)このとの調和の面から定められています。

未払い残業代請求の時効(2) 退職金は5年

退職手当についても同条に「この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する。」と規定されていおり、退職金請求権については、5年の消滅時効にかかることになります
 
これは、退職金については、高額になる場合が通常であり、企業側が資金の調達ができないことを根拠に支払について時間を要する場合があることや、そもそも労使間でのトラブルが多く発生する問題であること、退職者からの請求はそもそも困難であること、他の法律との兼ね合い、といった点が考慮されて長めに規定されているのです。 

未払い残業代請求の時効は止まる?

では、未払い残業代を請求するに際して、その2年間(退職金であれば5年間)の時効を止める方法はどうすればいいのでしょうか。労働基準法そのものにはこの点についての規定はありません。そのため、民法の一般原則にのっとって判断されることになります。

未払い残業代請求の時効は止める方法(1) 催告することで一時的に時効は中断

支払義務者である会社に対して、支払を催告することで、未払い残業代支払請求権の時効は一時的に中断します。例えば、労働交渉で、未払い残業代の支払いの催告がなされているような場合がこの典型例と言えるでしょう。
 
もっとも、催告のみでは、時効の中断の効果は一時的であり、催告を行った上で、6か月以内に請求を行う、具体的に訴訟を提起する等の次のアクションを起こす必要があります。

未払い残業代請求の時効は止める方法(2) 内容証明郵便で請求

内容証明郵便での請求は、時効の中断事由に該当します。内容証明郵便を会社が受領した日が起算点となり、そこから遅延損害金が発生していくことになります。
 
電子内容証明でも、そうでないものでも違いはありません。もっとも形式面はしっかりしたものでないと、郵便局でそもそも提出できない、という事態が発生しかねないのが内容証明郵便ですので専門家に任せてしまうのが一般的な出し方ではあります。

未払い残業代請求の時効は止める方法(3) 会社に直接交渉する

会社への直接の交渉についても、時効の中断と評価されることもあるでしょう。
 
もっとも、単に交渉した、というだけではなく、請求(あくまで、民法上、時効を中断するには請求を行うことが必要です。)していることが必要なので、後に、例えば訴訟になったような場合に時効の主張をされないようにエビデンスを何かしらの形で残しておくべきでしょう。

未払い残業代請求の時効は止める方法(4) 訴訟を起こす

訴訟、つまり裁判上の請求は一般的に時効中断事由に該当します。もっとも、解雇された労働者が地位確認請求を行う場合、残業代請求についても時効が当然に中断されるかどうかについては争いのあるところです。
 
請求の内容によっては、未払い残業代の支払請求については催告にしかならない、とした判例もありますので、いざ請求する際には忘れずに未払い残業代についても請求も行うようにしましょう。 

未払い残業代の請求は時効前に行いましょう

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未払い残業代を請求するには、実際に請求する側で計算を行う必要があります。時効を意識するのであれば、その計算の準備は早めにしておくに越したことはありません。

未払い残業代の算定方法

未払い残業代は
 
【基本給】×【残業時間】×【(就業規則にこれより高い割合の規定がなければ)1.25】
 
の計算式によって求められることになります。
 
ここでいう【基本給】には通勤手当や家族手当、住居手当等の賃金に相当するとは考えられないものについては含まれないことに注意が必要ですし、残業時間については所定労働時間を引かなければならないことに注意が必要です。

残業代発生の証拠を集めておきましょう

特に労使間では残業時間がトラブルになりやすい傾向にあります。
 
特に、会社を辞めた後に残業代を勤めていた会社に請求するような場合については、既に会社内部にアクセスすることができず、証拠を手に入れることができない場合が少なくありません。
 
そのため、残業時間を根拠づける資料、例えばタイムカードのコピー等は退社前に入手しておいた方が、いざ、請求する際に非常に便利といえます。
 
日常的に資料を持っている場合は少ないかもしれませんが、仮に退社して、残業代請求をする、という風に決めているような場合には事前に資料を入手しておくとよいでしょう。

労働問題に強い弁護士へ相談を

未払い残業代を会社に対して請求する、と一言に行っても、請求する側に準備しなければいけないことが数多くあります。その中で2年間、という消滅時効を意識しなければならないのです。
 
そもそも起算点がどこになるのか、どこまでを請求できるのか、ということも一般の方からすれば中々難しい問題でしょう。
 
ご自身が一体どういった根拠でいくら請求できるのか、そのために何を用意する必要があるのか、といったことは労働問題に強い弁護士に一度相談して判断することをおすすめします。

未払い残業代の請求には時効があるって知っていましたか?のまとめ

未払い残業代請求をするにしても2年間という消滅時効があります。
 
特にその会社に勤めている場合、勤め先に対して中々言い出せない、というのがある種日本人の習性ともいえるところです。
しかし、それで本来請求できる債権を消滅させてしまっている可能性があります。

賃金について疑問を持ったなら、すぐに経理、あるいは人事に確認してみましょう。
 
その上で、未払い残業代が発生しているのであれば、時効中断の策をとる必要がある、ということになります。早めに対応し、大切な給料は必ず取り返しましょう!
この記事の作成者

カケコム編集部