変形労働時間制って何?〜最近増えてきている変形労働時間制の問題点とは〜

毎月仕事がとても忙しいという人も多いですよね。今月、特に労働時間が長いな…という疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。そこで最近増えているのが「変形労働時間制」です。変形労働時間制とは一体どのようなものなのか、詳しい内容について解説したいと思います!

目次

最近増えてきている「変形労働時間制」について解説します!


そもそも労働時間は、労働基準法によって上限が制限されています。
 
それを超える場合は、時間外手当が支払われるようになっていますし、あまりに長い時間働かせることは違法になりえます。

もっとも、繁忙期と閑散期がある業種の場合で、繁忙期にも閑散期にも同じ時間だけしか働けないというのは非常に効率が悪いですよね。

そこで、そのような業種のニーズに応えて誕生したのが変形労働時間制です。
 
変形労働制というのが一体どのような制度で、どのようなメリットや問題点があるのかを見ていきましょう。

変形労働時間制とは

 

変形労働時間制という言葉をはじめて聞いたという人もいると思いますが、一体どのような制度なのでしょうか。

変形労働時間制とは(1) 労働時間の単位を月・年単位で計算

変形労働制というのは、簡単に言えば法定労働時間をを1日・1週単位ではなく、月単位もしくは年単位で計算することを言います。
 
そうすることで、忙しい時期に勤務時間が1日8時間・1週40時間を超えたというだけでは時間外労働にならない、ということになります。
 
変形労働時間制を用いれば、月か年単位で定められた労働時間を越えない限り、基本的には時間外労働にはならないのです。
 
これにより会社側は、繁忙期に長時間の労働をしてもらうことができ、かつ残業代として余分に高額な割増賃金を支払わなくて済む、というメリットを受けることができます。

労働者側にとっても、変形労働時間制により合計の労働時間が制限されているために、過重労働を避けることができるというメリットがあります。

変形労働時間制とは(2) 繁忙期と閑散期で労働時間の違いが生まれるために導入 

先ほど述べたように、変形労働時間制が誕生したのは、会社が忙しい時期と忙しくない時期に生まれる労働時間の違いが原因です。
 
繁忙期等によって勤務時間が増えても、閑散期に勤務時間が減っていれば、労働時間を月単位・年単位で計算することで、時間外労働としての取扱いを不要とすることができます。
 
変形労働時間制を用いれば、閑散期に働く時間を短くすることで繁忙期に働く時間を長くするということができるようになるわけですね。

変形労働時間制とは(3) 変形労働時間制を導入するには?

このように、労働者を雇う側からすると、変形労働時間制はとても便利な制度に思うのではないでしょうか。そんな変形労働時間制を導入するにはどうすれば良いのでしょう。
 
1ヶ月単位の変形労働時間制を導入するためには、所定労働時間が月の法定労働時間に収まるようにして就業規則に記載すれば良いのですが、1年単位の変形労働時間制を導入するにはもう少し手間がかかります。
 

1年単位の変形労働時間制を導入するためには、1年間の各日の労働日について法定労働時間内に収まるように設定したあとに、労使協定を結んで労働基準監督署に提出する必要があります(労働基準法32条の4)。

変形労働時間制とは(4) フレックスタイム制との違い

変形労働時間制と似た勤務体制に1日8時間という労働時間にとらわれない働き方であるフレックスタイム制がありますが、この2つの違いはなんでしょう。
 
フレックスタイム制は1か月を単位としているので、その点では1か月単位の変形労働時間制と同じです。
 

しかし、月の労働時間が法定労働時間を超える場合にのみ残業代が出るので、1日・1週の制限が課されていない点では変形労働時間制とは異なるといえます。

始業時刻と終業時刻を労働者の裁量に委ねるところも変形労働時間制とは異なります。

変形労働時間制と残業

 

変形労働時間制について紹介してきましたが、残業代が出ないのか気になるところですよね。

そのあたりについて見ていきましょう。

変形労働時間制でも残業代が出ないわけではない

変形労働時間制だからと言って、残業代が全く出ないというわけではありません。
 
変形労働時間制の採用自体が就業規則に決められた時間を変動させるわけではないので、所定労働時間を8時間と決めたにもかかわらず9時間働いたという場合は残業代が発生することになります。

1週間40時間以内と定めているにもかかわらずそれを超えて労働した場合も同様です。

変形労働制の残業代の計算方法

変形労働時間制の場合、その日によって労働時間が変わることがあるので、残業代の計算方法が難しいように感じるのではないでしょうか。
 
変形労働制を導入されている場合には、就業規則に定めが置かれているはずです。したがって、就業規則をもとに残業代を計算します。
 
例えば所定労働時間が8時間の日に9時間働いたら、1時間残業となりますが、所定労働時間を10時間にしている日には、10時間働いても残業になりません(ただし、たとえば1か月単位の変形労働時間制を採用している場合で、1週間ごとの労働時間の平均が40時間を超えている場合には超えた時間が時間外労働になります)。
 
少し複雑かもしれませんが、気になる場合には、労働時間の記録をしっかりとっておき、就業規則を見て丁寧に計算しましょう。

変形労働時間制にありがちな問題とは?

 

とても便利なように思える変形労働時間制ですが、何も問題がないというわけではありません。

よくある問題を紹介します。 

変形労働制にありがちな問題(1) 労働時間の計算が変則的なことに便乗し、残業代を減らされる 

きちんとしている会社であれば良いですが、変則的な労働時間であり、残業代の計算が労働者にとってやや複雑なことに便乗し、残業代の額を減らしている会社があるのも事実です。

7時間とされている日に9時間仕事をさせて定時扱いにし、残業代が支払われないというようなケースがあります。
 

わざと残業代をカットすることは違法となりますので、残業代が支払われないような場合は弁護士に相談しましょう。

変形労働制にありがちな問題(2) 所定労働時間が違法

就業規則を作成していれば、何時間でも働いてよいというわけではありません。
 
就業規則で決められている所定労働時間が、変形労働時間制について労働基準法が定めている時間をオーバーしていることがあります。
 

所定労働時間が違法の場合、法律から見ると余分に仕事をしている時間は残業とみなされるので、残業代をしっかりと支払わなければなりません。

変形労働制にありがちな問題(3) そもそも所定労働時間が曖昧でわからない

所定労働時間が曖昧でよく分からないという会社もあります。
 
例えば1ヶ月変形労働時間制を取り入れている会社があり、所定労働時間が7時間と10時間の日があったとします。
 
それを労働者にはあやふやにして、常に10時間労働させて残業を支払わないというようなこともあるのです。
 

所定労働時間が曖昧という場合は、きちんと確認するようにしましょう。
会社側の違法な態度を黙認していると、証拠が押さえられず、残業代請求で不利になることも考えられます。

変形労働時間制の残業が払われなかったら・・

 

変形労働時間制が用いられている職場で、残業代がきちんと支払われていなかったらどうすれば良いのでしょうか?

きちんと知っておくようにしましょう。

残業代発生の証拠を集めよう

変形労働時間制であっても、決められた労働時間を超えれば残業代はきちんと支払わなければなりません。
 
残業代が支払われていないのであれば、残業が発生しているという証拠を集める必要があります。
 
残業しているという証拠がなければ支払ってもらうことができないので、タイムカードを写真に撮るなど残業しているということが分かるような証拠を残すようにしましょう。 
 
残業代は本来の賃金よりも割増された賃金が支払われます。割増された金額でないという場合にも賃金不払いとして違法になりますので、金額にも注意してみてください。

労働基準監督署に相談

自分自身ではどうすれば良いか分からないという場合は、労働問題を解決してくれる労働基準監督署に相談するようにしましょう。
 
相談しに行くと、どのように対処すれば良いのか教えてくれます。
 

違法だと判断される場合は、会社側に残業代を支払うように促してくれます。 

労働問題に強い弁護士に相談

違法性が強い場合、労働基準監督署だけでなく、労働問題に強い弁護士に相談するようにしましょう。
 
支払われていない残業代は、きちんと支払ってもらうことができます。残業代が支払われていない証拠をできる限りまとめて、相談しにいきましょう。
 
証拠が集めきれないという場合にも専門家のサポートを受けるべきです。まずは労働問題を得意とする弁護士に無料相談してみてください。

弁護士に相談する

変形労働時間制とは一体どういうもの?〜最近増えてきている働き方の問題点とは〜のまとめ

今回は、変形労働時間制について紹介してきました。あなたの会社の労働体制はいかがでしょうか?
 
変形労働時間制はとても便利な仕組みですが、問題点がいろいろとあるのも事実です。
 
もし、残業代がきちんと支払われていないような気がする…というような場合は、労働基準監督者や弁護士に相談してきちんと残業代をもらうべきです。
 
もう1度自分自身の給料について見直してみてはいかがでしょうか?
 
この記事の作成者

ジコナラ編集部