労災の認定基準とは?何が労災に認定されるのかをきちんと知って”もしも”の時に備えましょう!

労災の基準とはどのようになっているのでしょうか?労働者が仕事の為に死亡し、傷害を受け、または病気にかかるといったいわゆる”労働災害”に遭遇した場合、民法上の損害賠償とは別に労働者を保護する制度がいわゆる「労災」です。労働基準法上にも規定はありますが、労災保険法による補償が一般的といえます。保証を受けることに不利益が被らないようにするためにも、基準をしっかりと把握しておきましょう。

目次

労災に認定される・されないの基準はどうなっているのでしょうか?   

労災が下りる、つまり、労働者に発生した災害が労働災害と認定されるためには、災害が「業務上」発生したものである必要があります。

ここでいう「業務上」とは、業務と災害の間に一定の因果関係(一般的には相当因果関係といわれています。)が要求されます。
 
では、労災が認定されるための具体的な基準はどのようなものがあるのでしょうか?確認していきましょう。

労災認定の基準とは?

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上記のように因果関係は①業務遂行性、②業務起因性という基準を用いて判断されることになります。以下で具体的にどのように判断されるのかをみていきましょう。

労災の認定基準(1) 業務遂行性〜業務上の災害であること〜

業務遂行性とは、傷病等が、労働者が労働契約に基づく支配従属関係のもとにあるときに発生したものであることを指します。
 
つまるところ、労働災害が会社の業務中に発生していたか否か、ということが問題になります。
 
もっとも、この要件の判断はさほど難しいものではありません。なぜなら災害の発生は時間的・場所的に特定が容易なため、その災害の発生が業務中に発生したか否かの判断は客観的に明らかになることが多いからです。

労災の認定基準(2) 業務起因性〜因果関係があること〜

業務遂行性が認められたとして、業務起因性の判断においては、傷病等の発生に対する業務の寄与をさらに判断することになります。つまりは、業務と傷病等の間の因果関係が必要になる、ということです。
 
ここでいう因果関係とは、業務の遂行に伴う危険が現実化したもの、元々そのような可能性がある業務内容であり、その危険性が実際になった、といった関係であると、経験則、つまりは一般的に認められることが必要です。
 
もっとも、業務が傷病等を引き起こした原因の一つである場合に、その中でも有力な原因であれば足りる、と解されています。

労災の認定基準(3) 通勤中の災害は?

通勤中の災害については、労災保険法が21条以下で、労災の対象となる旨を規定しています。
 
もっとも、通勤中の災害については労働災害そのものではありません。通勤は労働とは密接な関係を持っているとはいえ、一般的には使用者、つまり会社の支配下にあるとは言えず、一般的に業務遂行性が認められないからです。
 
そういった判断だと、労働者の救済される可能性が低くなってしまうため、法は「就業に関し」という要件を付けた上で通勤災害も労働災害であることを認めています。
 
そのため、通勤からの逸脱や中断と認定される場合は労働災害にはなりませんので、この点には注意が必要です 

過労死の労災認定基準について

 
社会生活で特に問題になっているのは過労死です。過労死の認定はどのように一般的になされているのか、検討してみましょう。

過労死認定ラインは80時間

過労死については、基本的な方針を行政が定めており、週40時間を超える時間外労働の時間に数に応じて、業務と発症との関連性を客観的に判断しようとしています。
 
具体的には時間外労働の時間が発症前の一か月間に100時間、あるいは、2か月間から6か月間に月80時間を超える場合には関連性が強いとされます。

過労死の労災認定基準(1) 心疾患と脳疾患の場合

心疾患・脳疾患の業務起因性の立証についても、行政からの認定基準が提示されています。
 
具体的には。業務上の「過重負荷」のために、労働者の基礎疾患が「その自然経緯を超えて著しく憎悪」して発症されたこと、という基準です。
つまりは、業務上の負荷によって、労働者が元々抱えていた健康上の問題が著しく悪化したといえるかどうか、ということになります。
 
このうち、過重負荷については
 
  1. 発症直前から前日までに「異常な出来事」があったこと
  2. 発祥の概ね1週間前に日常業務に比較して「特に過重な業務」があったこと
  3. 発症前の概ね6か月間に「著しい疲労の蓄積をもたらす特に過重な業務があったこと」
 
が必要になります。

過労死の労災認定基準(1) 精神障害の場合

業務による心理的負荷により、うつ病などの精神障害を発症してしまった場合についても労災認定がされる可能性があります。
 
そして、精神病が原因での自殺といった場合にも労災認定がされる可能性があります
 
この点について、労災保険法は労働者の故意による死亡については保険給付を認めないのを原則とはしていますが、精神障害による自殺の場合、自分が死ぬという結果の発生について故意がない、と判断されることがあるのです。 

労災の認定基準に当てはまったら?

「有給申請すると、個別に「どした?」と上司に聞かれる有給申請すると、個別に「どした?」と上司に聞かれる」[モデル:Max_Ezaki]のフリー写真素材を拡大
労災の認定基準に該当したからといって、当然にお金がもらえるわけではありません。しっかりと申請を行う必要があります。 

労災の認定基準を満たしたら(1) 労災の申請を迅速に行いましょう 

労災については、怪我をしたからといっていつまでも申請をすることができるわけではありません。
求める給付の内容によることにはなりますが、2年間、あるいは5年間といった時効が存在します。
 
これは一定の期間の経過により法律関係の安定を図るために規定されているものです。特に大けがを負ったような場合、申請が後回しになりがちですので、この点は注意しておきましょう。

労災の認定基準を満たしたら(2) まずは労働基準監督署に相談を

ご自身が負った傷病が労働災害かどうかわからない、あるいは労働災害だが時効が迫っている、といったような場合にはまずは、労働基準監督署(労基署)へ相談するべきです
 
そこで、ご自身の傷病、及びその傷病を発症するに至った経緯を話し、その上で労働災害保険の給付の申請を行うようにしてください。

労災の認定基準を満たしたら(3) 労働問題に困ったら弁護士へ相談

労災申請をしても認めてもらえなかった、あるいは会社がそもそも取り合ってくれなかった、といった場合、ご自身が負ってしまった災害が労働災害といえるかが勝負の分かれ目、ということになります。
 
この点については、上記してきたように様々な要件を充足する必要があります。そして、具体的な判例等と照らし合わせなければ、実際にご自身の傷病が労働災害かを判断することは難しいでしょう。
 
この点については、専門家である弁護士等に相談し、客観的な意見を求めるのがベストの選択肢です。

労災の認定基準とは?どんなものが労災に認定されるのかをきちんと知っておきましょうのまとめ

労災と一言も言っても、上記したようにそれが認められるには要件を充たす必要があります。
 
業務遂行性、業務起因性、という二つの認定基準があり、これを充たす必要があることはいざ、労災申請を行うときに意識しておかなければならないポイントです。また通勤途中の災害だからといって労災認定されないとも限りません。
 
こういった細かい知識を有していないと本来は申請できたはずのものを申請し損ねた、なんたことになりかねませんので注意しましょう。
この記事の作成者

ジコナラ編集部