試用期間中に解雇は許されるのか?そもそも試用期間とはどんな期間?

試用期間中に解雇されることはあり得るのでしょうか。本採用前の試用期間は、正社員と比べてさまざまな違いがあります。試用期間に解雇するためには、ある「理由」がなければならないのです。紐解いていきましょう。

目次

試用期間中では解雇するのも自由なのでしょうか?

求人票でよく見かける「試用期間〇か月」の文字。試用期間は正社員と違って、本採用されている立場ではないと思いがちですよね。

本採用されている正社員はもちろん解雇規制(簡単には解雇されないように守られている規制)があるため、企業によって理由なく解雇されることはあり得ません。

では、試用期間の社員はどうでしょうか?解雇されるのに理由はいらないのでしょうか。試用期間と解雇の関係について解説していきます。

試用期間中に解雇が許される?そもそも試用期間とは?

 
その名称から、さまざまなものが不安定なイメージの強い試用期間ですが、試用期間の解雇は許されるものなのでしょうか?

試用期間とは(1) 基本的に通常の雇用と同じ

試用期間は、基本的には通常の雇用と変わりません。求人票によっては、「試用期間も本採用と条件は変わらず」などの表記をしたうえで、
 
あくまでも本採用まで社員の適性を見るための「準備期間」としている企業が多いようです。

試用期間だからといって、好き勝手に解雇したりすることは基本的にできません。

試用期間とは(2) 最大で一年間程度の期間

試用期間の長さは、ピンからキリまであります。試用期間を設けない企業もあります。

試用期間を設けている企業でも、短くて1か月、長くて1年程度の期間
を設定しています。平均すると、試用期間は3か月程度の企業が多いようです。

試用期間とは(3) 賃金や保険の面で不利益を被ってはいけない

試用期間だからといって、給与が支払われなかったり、残業代が支給されないことは違法です。
 
労働基準法によって、以下のような場合は割増賃金を支給することが義務付けられてます。
  • 1日8時間を超過した場合
  • 会社の定める休日に勤務した場合
  • 22時~翌朝5時という時間帯に勤務した場合
また、社会保険にも正社員同様加入することが義務付けられています。
 
このように、試用期間中であっても正社員に比べて不利益を被ってはいけないのです。

試用期間中の解雇が認められる場合

 
「基本的に」試用期間に解雇されることはないのですが、例外があります。

試用期間中の解雇が認められる場合(1) 客観的合理性がある

 試用期間の解雇が認められる場合、「なんとなく」という理由は成立しません。以下のような解雇されるだけの合理性が必要です。
  • 与えた業務について、大きな失敗を繰り返し、業績を悪化させた。
  • 外部対応ができず、成立するはずだった商談を破談にさせ、明らかに業績悪化につながる要因となった。
  • 無断欠勤が複数回続いた
  • 試用期間に犯罪に加担した
このように、数字などで第三者が確認できる合理的な理由が必要です。

試用期間中の解雇が認められる場合(2) 社会通念上相当性がある

社会通念上の相当性とは、もはや解雇以外の解決方法がないことを指します。


つまり、前述したような客観的合理性のある理由によって、解雇が不当なものではなく、社会一般的に考えて妥当である必要性があるということです。

試用期間中の解雇が認められる場合(3) 事前に解雇予告・解雇予告手当を支払うこと

試用期間といえど、社員に対して突然予告もなく解雇することは、基本的にはできません。
 
採用後14日以内は、解雇予告もしくは解雇予告手当は必要ありません。
 
しかし、もしも14日以上経過していたら、企業には相当額の解雇予告手当を支払う義務があります。また、事前(30日以上前)に解雇を予告しておく義務もあるのです。

試用期間中に解雇が認められない場合〜「なんとなく」では許されません〜

試用期間でも解雇が認められない理由で多いものを紹介します。それは、以下のような場合です。
 
  • 上司が試用社員のことを生理的に受け付けないから。
    「好き」「嫌い」の私的かつ感情的な理由では解雇できません。
  • 試用社員の服装が不適切で気に入らないから。
    →服装が不適切なら、初回に注意すれば済むことです。
  • 求人票にあった勤務時間内で働いているのに、過度な残業(残業代なし)を要求され、断ったから。
    試用期間でも残業代を支給する義務が企業にはあります。
  • 勤務時間外で行われている社内の一部の飲み会(任意)にまったく出席しないから。
    勤務時間外の行動は強制できません。
  • 試用期間に妊娠していることが発覚したから。
    →人権の侵害にかかわります。 
  • 企業の労働組合に加入したことがわかったから。
    労組への加入は、個人の自由であり、解雇の正当な理由にはなり得ません。
このように、「誰が見ても納得できる」理由ではないのならば、たとえ本採用前の試用期間であっても、経営者の一存で解雇することはできないのです。

試用期間中に解雇されてしまったら?

 
もしも試用期間に解雇されるようなことがあった場合、どうしたらよいのでしょうか。

試用期間中に解雇されてしまったら(1) 直接会社に相談する

最も簡単な方法は、直接直属の上司などに相談することです。でも、解雇の際には上司が関わっていることが多いでしょうから、
 
実際は人事部、もしくは相談窓口の設置されている企業であれば、社内相談窓口へ相談してみましょう。 

試用期間中に解雇されてしまったら(2) 労働問題に強い弁護士に相談する

試用期間の解雇が不当なものだった場合、弁護士に相談することが適切でしょう。特に労働問題に強い弁護士に相談することで
不当解雇を企業を争う場合、有利になる証拠を提案してくれるかもしれません。

試用期間中に解雇されてしまったら(3) 各種窓口へ相談する

試用期間中の不当解雇の可能性がある場合は、以下の各種窓口へ相談しましょう。
  • 労働組合
    →企業と直接、あなたの雇用について交渉してくれるかもしれません。
  • 労働基準監督署
    →解雇の撤回の見込みは薄いものの、労働基準法違反の確認と、企業への指摘は期待できます。
  • 労働局
    →労働基準監督署の上位機関です。企業と話し合いをしてくれますが、拘束力は強くありません。 

試用期間中に解雇は許されるのか?そもそも試用期間とはどんな期間?のまとめ

 
試用期間の解雇は、誰が見ても明らかに解雇しか手立てがない!という以外、認められるものではありません。試用期間は、本採用前の不安定な立場です。
 
だから解雇されるのも仕方ない…と泣き寝入りしてはいけません。
 
不当解雇を疑ったら労働問題に強い弁護士に相談し、解雇の撤回を求めましょう。
この記事の作成者

カケコム編集部